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「食育講座 シリーズ7 食を取り巻く環境3(全4回)」
生産の場と消費の場の距離が一層離れています。いまや生産の場は全世界に広がり、同時に消費の場も世界に広がっています。
原油価格が高騰することで、輸送費や包装材などに影響を受けます。また、世界的な異常気象による農産物の不作や、バイオエネルギーによる転作などさまざまな理由で原材料費もアップしています。
さらに、発展途上国の経済水準の改善などで各国間で食糧争奪戦が始まっています。
いまや食品は、全世界的に取引が行われ、食品の開発や加工の技術も発展をしています。保管や輸送の体制も一国ではなく世界全体の中で行われるようになりました。
■食品の国際規格
こういったことから、食品の安全を確保し、人々の健康を守るために、公正な国際的取引を促進していく目的で、国連の専門機関である国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が世界的に通用する統一規格を作ることを決めました。この規格がコーデックス(CODEX)規格と呼ばれるものです。
たとえば、食品貿易に関して国家間で何か紛争やトラブルがあった場合、その裁定にあたるのは世界貿易機関(WTO)ですが、その判断基準となるのがコーデックス規格です。
このコーデックス規格の実施機関がCAC(コーデックス・アリメンタリウス・コミッション)と呼ばれる食品規格委員会です。この食品規格委員会には、食品表示や衛生規範、残留農薬、バイオテクノロジーなどさまざまな部会があり、各テーマにそって検討が行われています。
■わが国の食料自給率
食料自給率とは、国内の食料消費について国産でどの程度賄えているかということを示す指標のことです。この指標には大きく三つのものがあります。
1.品目別自給率(重量ベース)
品目別に国内生産量が消費量に対してどの程度賄えているかを計算したもの
2.穀物自給率(重量ベース)
基礎的な食料である穀物という分類でその生産と消費の比率を計算したもの
3.供給熱量総合食料自給率(カロリーベース)
食料も多岐に渡るために、個々の食料を栄養価で計算したもの。国民一人一日あたりの国産熱量と供給熱量の比率
わが国で一般的に使用されているのが、この3番目のカロリーベースの食料自給率です。
カロリーベースの食料自給率は1965年(昭和40年)には73%でしたが、その10年後の1975年(昭和50年)には、54%となりました。その後、横ばいで推移しながら、1998年(平成10年)に40%となり、40%の横ばいで推移しています。(データは農林水産省 平成15年度食料自給率レポートから)
これまで40%で推移していたものが、とうとう2006年は40%(カロリーベース)を割り込み39%となりました。
主な先進国の2002年におけるカロリーベースの自給率は次の通りです。
オーストラリア230%
アメリカ119%
フランス130%
英国74%
と先進国中で最低水準となっています。OECD加盟国30カ国の中でもアイスランド、オランダに次ぐ低さとなっています。
食料自給率低下の原因は、「食生活の変化」によるものが最大のものといわれています。米の消費量が減り、畜産物や油脂類の増加が見られます。
また、都市化が進み、農地面積が減少したことも原因のひとつです。
食料自給率の低下は、安定した食料供給ができなくなる可能性も含んでおり、食料自給率を高める必要があります。
おもな品目の自給率(平成16年度)
品目 自給率
米 94.2%
肉類 54.8%
牛乳・乳製品 67.3%
魚介類 49.0%
大豆 3.5%
農林水産省のデータから作成
輸入飼料によって生産された畜産物は、国産であっても食料自給率の計算では国産に参入しません。
(畜産物品目別自給率)× (飼料自給率) = 食料自給率
豚肉の場合、国内の品目別自給率は53%、飼料の自給率は9.7%のため53% × 9.7% =5%(豚肉の自給率)となります。
■経済環境と食
海外から食品が輸入されるということは、円高や円安によって国内の食のマーケットに大きな影響を与えます。また、原油の価格は、製造コストや、輸送費、包装材料などにも影響を与えます。
さらに、景気の良し悪しなども食のマーケットに影響します。このように、私たちをとりまくあらゆる経済環境が私たちの食に直接・間接的に何らかの影響をあたえています。
1.円高・円安の影響
世界にはさまざまな通貨があり、海外の通貨との対比でその価値が高くなった低くなったというのが、円高や円安です。対比の対象の通貨がドルの場合、1ドル120円が110円になるのは、円の価値がドルに対して高くなったので「円高」といいます。逆に、1ドル120円が130円になるということは、ドルに対して円の価値が低く(安く)なっているので、「円安」といいます。
一般的に「円高」になると、海外からの輸入品が割安となる、海外旅行も割安となります。一方で輸出企業の収益は下がります。円高では、人件費もコスト増となるため、国際競争力が低くなります。そのため、人件費や原材料費が安い海外に生産拠点をシフトするという傾向もあります。
「円安」はその逆となります。
この「円安」と「円高」がどうして起こるのかといったメカニズムはよくわかっていません。
2.インフレとデフレ
物価が継続的に上がり、貨幣価値が下がっていく状態をインフレーション(インフレ)といいます。逆に物価が継続的に下がり、貨幣価値が上がっていく状態をデフレーション(デフレ)といいます。
モノの価格は、それを買いたい人と売りたい人との需給関係で決まります。買いたい人が多ければ価格は上がり、売りたい人が多ければ価格は下がります。需要と供給がうまくバランスを取れた状態で推移すればいいのですが、そのバランスがうまく作用しない場合、インフレあるいはデフレの状況が発生するといわれています。ただし、この需給バランスだけでインフレやデフレが発生するわけではなく、実際にはさまざまな要素がからみ起こります。
3.貿易の自由化と国内産業の保護
食料自給率が40%という低さで、これを高める必要があります。同時に食料自給率を高めるということは輸入量を減らすということでもあります。貿易の自由化が叫ばれている中で、輸入量を減らすということはまた大きな課題でもあります。
生産コストが安い食料が輸入拡大されると国内の農家や産業が大きな打撃を受けることも考えられます。
ある品目の輸入量が急増し、国内の産業に重大な被害を及ぼすかあるいはその可能性がある場合、その品目の輸入品に対して、輸入制限あるいは禁止を行うことのできます。その緊急措置のことを「緊急輸入制限措置(セーフガード)」といいます。世界貿易機関(WTO)は、GATT第19条およびWTO協定の「セーフガードに関する協定」によって、一定条件下であれば、例外的に輸入制限を認めています。
(牟田実の食育講座 No.48)
2007.12.04 15:51:00
| きゃりあ塾
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