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「食育講座 シリーズ5 栄養の基礎知識 2(全6回)」
今回は三大栄養素について考えてみます。
炭水化物、脂質、たんぱく質を「三大栄養素」といいます。
これらは、栄養素の中でもとくに摂取量が多い栄養素です。「炭水化物の中の糖質」と「脂質」はおもにエネルギー源として働き、「たんぱく質」は細胞、ホルモン、酵素などからだを構成するための材料として使われます。
■三大栄養素
「糖質」は、あらゆる栄養素の中で、食品中に含まれる栄養素の量が最も多い物質です。糖質は脳の働きには欠かせない栄養素です。
「脂質」は、1gあたり約9kcalというエネルギーを生み出します。もっとも効率的なエネルギー源です。脂質というと肥満やダイエットの敵といったイメージがありますが、脂質が不足するとエネルギー不足や、血管や細胞膜が弱くなり、脳出血などが起きやすくなる可能性もあります。
「たんぱく質」は英語で「protein」といいます。この語源は、ギリシャ語の「第一のもの」から来ているといわれています。この語源のとおり、たんぱく質は極めて私たちにとって重要な栄養素です。私たちの皮膚、爪、筋肉、内臓、血液、毛髪といったからだを構成します。
それぞれについてもう少し詳しくみてみましょう。
■炭水化物の働き
1.特徴
ヒトの消化酵素で消化される「糖質」と、消化されない「食物繊維」を合わせて炭水化物といいます。
糖質は、炭素・水素・酸素で構成される有機化合物で、ごはんなどの穀類に多く含まれています。
化学構造の特徴から、単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。
私たちが食物からとった糖質の多くはブドウ糖にまで分解され、おもにエネルギー源として利用される栄養素です。
1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。糖質を体内で、エネルギーに変えるには、ビタミンB1が必要です。
2.過剰、欠乏すると
糖質はとりすぎると、脂肪に合成され、脂質とともに体脂肪となり肥満を招く恐れがあります。
欠乏すると、からだを構成するたんぱく質や体脂肪が分解されてエネルギー源としても使われます。たんぱく質が分解されると筋肉量を少なくさせます。
また、体内で糖分が足りなくなると、脂肪分解が急激におきると血液中に有害物質が出てきます。これをケトン体といいます。このケトン体が多くなると、食欲低下、顔色が悪い、倦怠感、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。
3.食物繊維の働き
ヒトの消化酵素では消化できない成分のことです。以前は食物繊維は「食べ物のカス」と扱われていました。生活習慣病の予防効果などさまざまな働きが注目され、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを五大栄養素とし、「第六番目の栄養素」といわれるようになりました。
食物繊維は、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に分類できます。
食物繊維を食品からとる限り、過剰症の心配はありません。不足すると便秘や痔になる可能性があります。また、腸内に有害物質が長時間滞留することで、発がんの危険性も高まります。
■脂質の働き
1.特徴
脂質も、炭素・水素・酸素の三元素で構成されています。水には溶けずに、エーテルやクロロホルムに溶ける性質を持っています。脂溶性ビタミンの吸収を助ける、細胞膜や神経組織の構成成分となるといった働きがあります。また、1gあたり約9kcalという高エネルギーを生み出し、エネルギー源となります。
2.過剰・欠乏すると
脂質を過剰摂取すると、肥満につながります。そこから、糖尿病や高脂血症、動脈硬化などが起こりやすくなるといわれています。
脂質が不足すると、エネルギー不足や血管や細胞膜が弱くなることで脳出血を引き起こすことも考えられます。
3.油と脂
常温において液体のものを「油(oil)」、固体のものを「脂(fat)」としています。植物性の油脂は油が多いのですが、カカオ脂、シア脂といった個体のものもあります。また、動物性でも魚油などは液体のものがあります。
■たんぱく質の働き
1.特徴
たんぱく質はアミノ酸が多数結合した高分子化合物です。炭素・水素・酸素のほかに、窒素やイオウを含みます。
20種類のアミノ酸の組合せで10万種類といわれるたんぱく質が作られます。
たんぱく質の働きは、皮膚、筋肉、内臓、髪の毛、爪などのからだを構成する主成分となり、さらに、ホルモンや酵素、免疫抗体の生成の成分ともなります。
エネルギーが不足した場合は、1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。
2.過剰、欠乏すると
からだにはたんぱく質を貯蔵するしくみがないために、過剰分は尿に排泄されます。そのため摂り過ぎると腎臓に負担をかけて、腎機能障害を引き起こす恐れがあります。
たんぱく質はからだを構成しているおもな原料です。不足すると、成長や発育に影響が出ます。また不足されるとからだを構成しているたんぱく質が分解されて不足分を補おうとするために、体力や免疫力が低下します。
次回は「ビタミンとミネラル」について勉強します。
(牟田実の食育講座No.36)
2007.10.18 09:26:57
| きゃりあ塾
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