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「食育講座 シリーズ3 おいしくいただくために4 (全8回)」
日本の食文化の中には「ハレ」と「ケ」という捉え方があります。「ハレ」とは、あらたまった特別な日あるいはめでたい状態を指す言葉です。
この「ハレ」(晴れ)は、晴れ着、晴れ舞台、晴れ姿というようにも使われます。
一方「ケ」とは日常的な普通の生活や状況を指します。
■ハレとケ
「ハレ」は、本来信仰や儀礼と結びついていました。お酒や料理は神様に捧げ、神様とともに飲食する特別な日でした。それが、ハレの食事が信仰や儀礼とかかわりのないところで発展し、人生の節目やお祝い事や特別な何かがあったときなど、家族や親しい人たちと会食をし、時間を共有する形が一般的となりました。
ハレの日には普段は食べることのできない特別な料理をたべます。またお酒も「ハレ」の日にはかかせません。
食生活の多様化により、最近はこの「ハレ」と「ケ」の区別がなくなりつつあります。
お正月はハレの典型です。晴れ着を着て、お屠蘇を飲み、いつもとは違う食事(おせち料理や雑煮)を食べました。今では、お正月からコンビニエンスストアもスーパーマーケットもオープンしています。デパートも初売りセールを行っています。
また以前は、「ハレ」の日にしか食べることができなかった赤飯も、コンビニエンスストアに行くといつでも赤飯のおにぎりを買うことができます。
寿司も「ハレ」の日の食事の代表格でしたが、回転寿司やスーパーマーケットの惣菜売り場には握りずしを販売しています。
このように、「ハレ」が日常化しつつあり、「ハレ」と「ケ」の意識が希薄になりつつあります。
■五節句と食べ物
五節句は「五節供」とも書きます。伝統的に季節の変わり目となる日を節句とよびます。
この「五節句」は、祝祭日のように制度としてあるわけではありませんが、民間行事として定着しています。
五節句は、季節に応じた植物を食することで邪気を払うのが目的でした。
◇五節句と食べ物
節句名・月日・植物・代表的な食べ物
●人日(じんじつ)の節句・正月7日・春の七草・ 七草粥
春の七草とは、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、すずな、すずしろ、ほとけのざ
七草粥を食べて一年の豊作と無病息災を祈ります。
●上巳(じょうし)の節句・3月3日・桃、よもぎ・ハマグリの吸い物、ひしもち、白酒
桃の節句ともいわれます。ひな祭りとして一般化しました。
●端午(たんご)の節句・5月5日・菖蒲・ちまき
で、「菖蒲」は「尚武」(武を尚ぶ)に通ずるということで、男子の節句といわれます。
●七夕(しちせき)の節句・竹、瓜・そうめん
中国から伝わった牽牛星と織女星の星祭り伝説と日本の古来からの「棚機つ女(たなばたつめ)」の伝説が合成されて七夕の日として定着しました。
●重陽(ちょうよう)の節句・9月9日・菊・菊酒
九という陽数(奇数)が重なる(重陽)めでたい日とされています。
■行事と食べ物
なにか祝い事や特別な行事があると集まって食事をするという習慣があります。これは、世界共通です。普段の生活の中でも、新年会、忘年会、納涼会(暑気払い)、歓送迎会と集まって食事を共にすることで、ともに祝い、喜び、悲しみ、慰労し、励ますなど人と人とのつながりをつくります。
正月、節句、彼岸、盆、クリスマス、大晦日といった年中行事、出産、お七夜、誕生日、七五三、入学、就職、結婚、長寿の祝いといった通過儀礼、そして田植え、祭り、運動会、文化祭、収穫祭といった生活行事。このように、私たちの生活の中で、行事と食は切っても切れない関係があります。
◇おもな年中行事と食べ物
月 行事 関係ある食べ物
1月 正月 屠蘇、雑煮、おせち料理
七草七草粥
鏡開き鏡餅いりお汁粉
2月 節分 煎り豆
3月・9月 彼岸 ぼた餅(おはぎ)
7月 土用の丑の日 うなぎ
8月・9月 月見 くり、いも、月見団子
11月 七五三 千歳飴
12月 冬至 かぼちゃ
大晦日 年越し蕎麦
◇通過儀礼と食べ物
行事 代表的な食べ物
お誕生 うぶめし産飯
お七夜 赤飯・鯛
初宮参り 赤飯・紅白もち・カツオ節
七五三 赤飯・鯛・千歳飴
入学・卒業・成人式 赤飯
婚礼 赤飯・カツオ節・コンブ・スルメ
長寿の祝い 赤飯・紅白もち・鯛
死去 まくらめし枕飯・まくら枕だんご団子
注:年中行事や通過儀礼に関連する食べ物は、地域や信仰などによっても異なります。上記はいずれもあくまで代表的なものです。
■長寿の祝い
長寿をお祝いすることをがじゅ賀寿といいます。周囲の人が長寿にあやかるため、そしてご本人には、さらに健康で長生きをしていただきたいという願いを込めたお祝いです。さんが算賀ともいいます。
長寿のお祝いは、数え年で61歳を迎える「還暦」からとされています。しかし、現在では平均寿命が延び、還暦を迎えてもまだまだ若く現役の方も多く、老人扱いされたくないと感じている人もいます。
お祝いが、かえって失礼とならないようあくまでご本人の意向に従ってお祝いをするようにします。
◇賀寿
お祝い 読み方 数え年 語源
還暦 かんれき 61歳 60年で生まれた年と同じ干支に還るという意
古希 こき 70歳 唐の詩人杜甫の曲江詩の一節「人生七十古来稀」から
喜寿 きじゅ 77歳 草書体で「喜」野路は七十七と書かれることから
傘寿 さんじゅ 80歳 傘の略字が八十に似ていることから
米寿 べいじゅ 88歳 「米」の字を分解すると八十八になることから
卒寿 そつじゅ 90歳 「卒」の略字が九十に似ていることから
白寿 はくじゅ 99歳 「百」の字の上部の一を除くと白になることから
次回は「地域や季節と料理」です。
(牟田実の食育講座No.21)
2007.08.10 08:43:22
| きゃりあ塾
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