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「食育講座 シリーズ3 おいしくいただくために 2 (全8回)」
それぞれの地域の料理は「おいしさ」と同じく、気候風土、宗教、人種、地理的条件、生活習慣、経済状況などさまざまな背景の中長い歴史とともに形作られてきました。ひとつの国の中でも地域によって食文化はまちまちです。>BR>
交通手段や通信手段の発達で人や情報の往来が頻繁となり、それにともなって、私たちの周りでも気軽に世界の料理を楽しむことができるようになりました。同時に、ファストフードのように、メニューの画一化によって地域の食文化が消えるという危機感もあります。
■世界の主な料理の特徴
日本料理は、季節感を重視し、目で楽しむ料理といわれています。素材の味を大切にし、刺身、焼き物、煮物、揚げ物、和え物、蒸し物、漬物などと調理方法も多彩です。
西洋料理は、欧米諸国で発達した料理の総称です。日本料理に比べると、獣肉類とその加工品や、チーズ、牛乳、バターなどの畜産食品が多く使われています。また、香辛料やワインで風味を加えて、ソースを工夫しています。西洋料理は、フランス料理が中心となり、イタリア料理、スペイン料理、ドイツ料理、ロシア料理などを指します。
中国料理は、豊富な食材を使い、その食材を無駄なく使います。油を使うものが多く、短時間で仕上げ大皿に盛り付けて食べるスタイルのため、大人数でも融通がききます。
エスニック料理の「エスニック」とは「民族の」という意味です。特定少数民族の料理を意味することばとして定着しています。タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどの東南アジアや中南米、中東などの料理を指すことが多いようです。
■主な国の料理
(出典:「調理用語辞典」社団法人全国調理師養成施設協会編 一部抜粋・加筆)
●フランス料理
西洋料理を代表する料理。国際的なパーティーではフランス料理を用いることが多い。イタリアの高級料理がフランス宮廷に紹介され、その影響によりフランス料理は格調高い宮廷料理として発達していった。フランス料理の特徴は、各種のスパイスと数百種類にも及ぶといわれるソースにある。スパイスは保存された肉類の臭みを消しておいしく食べるために用いられ、ソースは料理の味をさらに高めるための調味料の役目を果たす。フランス料理とは切っても切れない関係にあるのがワイン。
●中国料理
中華料理ともいう。中国料理は、広大な土地と長い歴史を背景に葉辰してきたもので、古くから食に対して関心を抱いた人々が食材料の探求、その特質を生かす調理技術の研鑽に力を注いで大成させた一つの文化遺産といえる。材料の範囲が広く、またその使い方にむだがない。食k品の保存技術が発達し、乾燥材料が多い。これは、国土が広いため、運搬上の都合から必然的に生まれたものである。油の使い方も巧みで、油を使わない料理はないといって良いほど油を用いるが、材料の風味を損なわず、栄養分を破壊することなく実に巧みに使っている。調理器具は少なく、中華なべと玉じゃくし、穴じゃくしがあればほとんどの料理をこなすことができる。包丁も一本の中華包丁でまにあう。食器も大皿に盛った料理を取り分けて食べる形式なので数は少ない。中国料理も地域によって特色があり、主なものとして、北京料理、広東料理、上海料理、四川料理などがある。
◇北京料理
牛肉、羊肉、鴨肉を使う。米よりも小麦や雑穀を利用した粉食の点心類が多い。北京ダックなどが代表的な料理としてあげられる
◇広東料理
中国南部を代表する料理。食在広州(食は広州に在り)といわれるように、フカヒレ、ツバメの巣などの高級食材からヘビのような食材まであらゆる食材を使いこなすのが特徴。直火焼きが得意で、豚の赤身を焼いたチャーシュー
◇上海料理
味付けは淡白で甘めであるが、特産の醤油(中国しょうゆ)を使った煮込み料理は、濃厚な味付けものものが多い。紹興酒の本場。上海蟹、小籠包(ショーロンポウ)が有名
◇四川料理
揚子江の上流域にある。盆地のため夏は蒸し暑く冬は寒さが厳しい。疫病の防止や毒消しなどのため、また体力を保ち食欲を増すため香辛料が多く用いられているといわれている。麻婆豆腐やエビのチリソースが代表的料理
●トルコ料理
ヨーロッパとアジアに接したトルコは、料理も双方の影響を受けつつ、子羊肉、ナス、オリーブ油などを多用した独特の風味を作り出してきた。代表的な料理には、シシカバブ、米やひき肉をキャベツやブドウの歯で巻いた詰め物料理のドルマなどがある。ピラフもトルコが発祥の地である。飲み物ではターキッシュコーヒーが知られている。
●イタリア料理
各種のパスタ料理が最大の特徴。パスタの種類だけでも、スパゲティ、ラザニア、ラビオリ、カネロニ、マカロニなど数百種類におよぶ。また、リゾットなどの米料理も好まれ、よく使われる食材は、エビ、イカ、アサリ、スズキ、イワシなどの魚介類、ハム、ボロニアソーセージなどの豚肉加工品、ニンニク、トマトなどがある。オリーブ油や各種チーズ(パルメザン、モッツァレラなど)も副材料として多用される。キャンティ、マルサーラに代表されるワインも豊富
●イギリス料理
長い伝統に培われた独特なものが多い。キドニーパイ、ビーフステーキプディング、プラムプディングなどは現在でも伝統的な手法で作っている。島国であるため魚料理も豊富で、フィナンハーディー(燻製タラ)、エンゼルオンホースバック(カキのベーコン包み焼き)などが知られる。肉料理も伝統的なローストビーフをはじめとして、羊肉を使ったアイリッシュシチューなどがある。飲み物は紅茶が国民的飲料で、アフタヌーンティーには各種のケーキやサンドイッチとともに楽しむ
●スペイン料理
農産、畜産に恵まれた国で、大西洋と地中海に面しているので海産物も豊富である。料理の特徴はオリーブ油、ニンニク、ピーマン、サフランなどを使う。北部は香辛料をきかせた料理が多く、南部は比較的あっさりした料理が多い。スペイン料理を代表するものとして、パエリア、ガスパッチョなどがある
●ドイツ料理
ドイツの気候、風土に合ったジャガイモやライムギが古くから栽培され、主食として食べられてきた。また、畜産物は豚が主で、厳しい冬に備えてこの豚肉を保存するためにソーセージやハムの加工技術が発達し、あらゆる部位を使ったものが作られている。野菜の保存食としてザウアークラウトがよく知られている。こういった保存食品を巧みに使ったものが多い
●ロシア料理
長く寒い冬に耐えられるように、脂肪分に富んだものが多い。スープ類は、ボリュームのあるシチュー風のものが多種あり、なかでもボルシチはその代表的なものである。また、数々のザクースカ(前菜)も特徴の一つである。キャビア、ニシンの塩漬け、キュウリのピクルスなどは前菜としてのみならず保存食としても欠かせないものである。これらはウオッカとともに賞味される
●アメリカ料理
合衆国、北アメリカ、南アメリカ、中央アメリカとそれぞれの特徴がある。移民社会のため、一言でこれがアメリカ料理と語ることはむずかしい。アメリカ料理というと一般的にアメリカ合衆国の料理を指すことが多い。ハンバーガー、ホットドック、コーラ、シリアル、バーベキューなどが有名。ピザもアメリカに定着した料理となっている。ファーストフードやファミリーレストラン、シアトル系コーヒー、コーラなどは世界的に広がっている
●インド料理
広大なインドでは、料理にも地域差がある。回教系のムガール帝国の影響を受けた北西インド料理は、羊や鶏を使った料理が多い。タンドリーチキンは、その代表的なものである。戒律により牛肉を食べないヒンズー教徒の多い南インドでは、野菜や豆を使った料理が多い。カルカッタなどの東部インド地方では、魚介類を中心とした料理が多い。主食は、南部では米、北部ではチャパティやナンなどのパンである。このように地域差はあるが、共通しているのはターメリック、ガラムマサラなどの香辛料を使ったカレー料理を食べるという点である。飲み物は、南部ではコーヒー、北部では紅茶を飲用している。ラッシーというヨーグルトドリンクも有名
●タイ料理
タイは外国の植民地支配を受けなかった国なので、独自の食文化を保ち続けてきた。ラオスとカンボジアに囲まれた東北部のラ?プをはじめとする地方のトウガラシを多用する辛い料理、ミャンマーに接する北部のもち米を主食とする料理、人口密度の高いバンコクの庶民料理や宮廷料理、マレーシアに接するココナッツミルクを使う南部料理などがある。どの料理にも、ナムプラー、マナオ、パームシュガー、トウガラシ、ハープ、スパイスなどを使うことが多く、なかでもトムヤムクンは世界的に有名
●朝鮮料理
朝鮮半島に伝わる料理の総称。朝鮮料理は、さじと箸のセットで食べる。そのため飯やスープなどの主たる料理はさじで口に運ぶのを食礼とする。飯には必ずスープとキムチがつく。かゆ料理の種類が多く、飯にスープをかけるクッパもよく食べられる。肉料理が古くから発達し、調理法も多様である。調味にトウガラシやごま油が多く使われるのが特徴であるが、朝鮮料理にトウガラシが定着して辛くなったのは18世紀ごろからで、辛いキムチやコチュジャン(トウガラシみそ)が作られるようになった。最近では、焼肉、キムチ、冷麺などはわが国の食生活にも定着するようになった
上記のうち、フランス料理、中国料理、トルコ料理が世界の三大料理と呼ばれています。
次回は「日本料理の特徴」です。
(牟田実の食育講座 No.19)
2007.08.03 07:35:29
| きゃりあ塾
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