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「食育講座 食を取り巻く環境 4 (全6回)」
流通とは、生産者によって生産された商品(生産物、サービス、情報)注が、消費者の手に渡るまでの仲介的な機能全般のことを指します。
流通は「消費者」と「生産者」の間にあるつぎの三つの乖離(ギャップ)1.人が違う 2.場所が違う 3.時間が違う を埋める経済活動全般のことと言うこともできます。
私たちの食と流通は切っても切れない関係にあり、自給自足でない限り、流通を抜きに食について語ることはできません。
この流通は、食生活を考える上で極めて重要です。なぜなら、生産者と消費者とのパイプ役を流通が担っているからです。
今、中国の食品安全問題、BSE問題、食品表示の偽装問題、残留農薬問題、遺伝子組換え問題など食の安全性について関心が高まっています。
これは、食(消費者)と農(生産者)の距離がますます広がり、自分たちが口にしている食品が、どのように生産されどのような経路で私たちの手元まで運ばれるのかが見えにくくなっていることが大きな要因の一つとなっています。
だからこそ、食品の安全性を確認し安心感を得るためには、流通のしくみを知ることが重要なのです。
この流通のしくみは日々変化しています。「一年を通して新鮮な食品を食べたい」というニーズがあれば、それに合わせて日本中・世界中から商品を調達し、かつ鮮度を保持できる輸送体制が構築されます。また、24時間営業の店舗に対応した配送などの流通体制も必要です。
大手のスーパーマーケットなどは、大量一括仕入れ、契約農家からの直接買い付けなどにより、従来の卸売市場経由から市場外取引へ移行しています。
私たちの食卓は、このような流通の仕組みの上に成り立っているのです。
つまり流通のしくみを知ることは、食生活を考える上で必要不可欠なことです。
■流通の機能
流通には4つの機能があります。
1.商取引流通(商流)機能
この商流機能にはつぎのようなものがあります。
?取引の機能(所有権の移転)
メーカーが卸売りに商品を販売する。卸売がメーカーから商品を仕入れ小売に商品を販売する、そして小売は卸売りから商品を仕入れ消費者に商品を販売するといった売り買いの機能です。この商流機能には、マーチャンダイジング(品揃えをする)、取引価格を決める、販売促進(セールス活動)を行うなどが含まれます。また、取引を行うということは、取引にともなうリスク(倒産などによる金融上のリスクや商品の廃棄ロスや破損によるロス、機会ロスといったリスクなど)も負うことになります。
?金融の機能
商品を仕入れて販売する場合、それらの取引をすべて現金で行うことは、現実的には難しい状況です。そこで、与信(支払の能力はあるか、倒産の危険性はどうかなどをチェックすること)管理をすることで、商品受け渡し後の支払(後払い)や、立替え払いを行うのが一般的です。納品月末締め切り翌月末支払というものです。また、運転資金や事業拡大のための資金調達や融資などの機能も含まれます。
?保険の機能
商品にもし欠陥などがあった場合、代替品を提供する、アフターサービスを行なうなどの機能も含まれます。
2.物的流通(物流)機能
生産者から消費者まで、生産物を移動させることをいいます。具体的には、生産物を輸送する、輸送のための梱包をする、荷役をする、生産財を仕分ける、保管する、包装・加工するなどの活動のことです。
この物流機能は、流通の中でももっとも注目をされています。これまでは物流をいかに効率化するかということを言われていましたが、最近では、物流を戦略的にとらえ企業経営の重要な柱として考えられるようになりました。
3.品揃えを形成する機能
生産者は商品を大量に生産します。しかし、消費者はさまざまな商品を少量消費します。たとえば、牛乳のメーカーは製造ラインで牛乳を大量に生産しています。当たり前のことですが、牛乳のメーカーでは、その牛乳を飲むためのカップは製造していません。しかし、消費者は牛乳を飲むためのカップも購入します。
つまり、生産者は単品を大量に生産し、消費者は多品種を少量消費します。生産者が大量に生産したものをそのまま消費者に販売するのではなく、そこには小分けをし、品揃えをするといった機能が求められます。
これが流通の重要な機能でもあります。
4.情報伝達機能
情報の収集、発信機能などのことです。この情報とは、新製品情報、何が売れているのかといったマーケット情報、作柄状況などの情報、取引先の与信に関する情報などあらゆるものを含みます。
最近では、POSシステム(Point of sales:販売時点情報管理システム)や、さまざまな情報ネットワークにより、瞬時にあらゆる情報を取ることができるようになりました。こういった情報を流通全体で共有したり、メーカー、卸、小売などそれぞれの段階で収集、分析、発信することで、商品開発やチャネル開発、販売促進、小売店へのサポート活動、アフターサービスなどに結びつけることが可能となります。
■直接流通と間接流通
「直接流通」とは、生産者と消費者の間に卸売業者などの商業者が介在しない流通をいいます。生産者から消費者に直接商品が提供される形態をいいます。生産者が行っている通信販売やインターネットを利用したものや直接消費者を訪問して販売する方法などがあります。 「直接流通」は、メーカー対消費者のほかに、卸を通さずメーカーから直接小売に販売する場合(メーカー対小売)も直接流通ということがあります。
「間接流通」とは、生産者と消費者の間に卸売りや小売などの商業者が介在する流通のことです。一般的な例をあげると次のような流れになります。
◇農産物 農家(生産者)→農協→卸売市場→仲卸→小売→消費者
◇加工食品 メーカー(生産者)→一次問屋→二次問屋→小売→消費者
間接流通の方が間に商業者が入らない分だけ余計なマージンなどが削減できる分、生産者は高く売れる、消費者は安く買えるというメリットはあります。しかし、流通経路が多段階であること、国内の卸や小売はともに小規模店が多いこと、わが国独特の取引形態・商慣行がいまだにあり不透明な取引があるといった問題も抱えています。
直接流通と間接流通を比べると、生産者と消費者の数だけ取引があるので、取引の数が多くなるため、かえって効率が悪くなり流通費用(物流費、通信費、販売促進費など)がかかることもあります。私たちは、スーパーマーケットに行けば、一箇所で肉も魚も野菜も買うことができます。直接結う通の場合は、買うという行為だけをみると、それぞれ別の取引をすることになり、取引数が増えることになります。
さらに、消費者に直接販売するため、代金回収が確実にできるかどうかといったリスクも生産者側にはあります。
■流通業者とは
生産者と消費者の間に介在する商業者を流通業者と呼びます。メーカーから商品を仕入れて小売に販売する卸売業者、卸売業者から商品を仕入れて消費者に販売する小売店が一般的に流通業者と呼ばれています。
輸送や保管を行う、運送業者や倉庫業者も生産者と消費者の間に介在しますが、これらの業者は「物流業者」と呼ばれています。
経済産業省の平成16年調査の商業統計によると、卸売業者の事業所数は375,269、小売の事業所数は1,238,049となっています。そして就業者数は、卸売業 4,010,171人 小売業の就業者数840万人です。
卸売業のうち食料・飲料卸売業の年間販売額は43兆8千億円。
飲食料品小売業の年間販売額は、41兆3千億円となっています。
注:ここではつぎのように言葉の定義をしています
商品・・・・生産物およびそれに付随するサービスや情報を含む
生産物・・・・収穫されたものあるいは生産されたもので販売の対象となるもの
製品・・・・メーカーで製造された生産物
生産者・・・・農林畜水産業者、メーカーのほか、輸入業者も含みます
消費者・・・・商品の使用者を指します。一般消費者のほか、その意味では、業務用で商品を使用する店舗、企業、団体、法人、官公庁、自治体なども含まれます
次回は「新鮮さと安全を届けるために進化する物流」です。
(牟田実の食育講座 No.15)
2007.07.12 19:14:13
| きゃりあ塾
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