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「食育講座 食生活とは?」
テレビ番組で「〇〇は体に良い」と紹介されると、すぐにその商品が店頭から売切れてしまうという現象が話題になりました。しかし、いまだにその傾向は残っています。テレビも「体に良い」「体に悪い」といった番組は数多く放映されています。また、雑誌の特集でもダイエットや健康に関する特集を数多く目にします。このような食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に論ずることを「フードファディズム」と群馬大学の高橋久仁子教授は指摘しています。(注1)
まるで栄養素に病気や怪我を治癒する薬と同じような効果が期待できるような取り上げ方をよく見かけます。
■栄養素神話にだまされない
「一日30品目」ということがよく言われます。これは、旧厚生省が1985年に発表した「健康づくりのための食生活指針」で打ち出された健康スローガンです。もともとは、「健康のために、一日に30品目はとりましょう」ということであったのですが、この「一日30品目」が一人歩きして、「一日30品目はとらなければならない」⇒「一日30品目とらないと病気になる」となり、この30という数字がまさに栄養神話の呪縛のようになっています。
情報が氾濫し、その結果何が正しいのかといったことが見えなくなっています。実は、食生活を栄養素だけで語るというのもこの栄養神話によるものかもしれません。
■医食同源とは
医食同源という言葉があります。これは、中国に古くから伝わることわざで、「病気を治療するのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つために欠くことができないもので、源は同じだという考え」(大辞泉 小学館)ということです。
この意味は、食は健康を保つために大切だということなのですが、前節のような栄養素をまるで薬効があるかのような誤解は、どうもこの医食同源という言葉を、食(に含まれる栄養素)は医(の薬)と同じく病気を治癒すると解釈しているのではないでしょうか。
■ジャンクフードばかり食べている子はキレやすくなる?
ジャンクフードのジャンクとは英語でjunkのことです。くず、ガラクタという意味があります。ジャンクフード(Junk food)とは熱量が高くて栄養価低い食べ物のことです。ポテトチップスやポップコーンなどのスナック菓子、ハンバーガー、フライドポテト、フライドチキン、ドーナッツのようなファーストフードがこれにあたります。
全国にコンビニエンスストアが普及し(注2)子や清涼飲料水は、値段も手ごろなために、どもたちが欲しいときにいつでも簡単に手に入るようになりました。また、味や食感が工夫され、口あたりがよく、ついつい手がでてしまうといった食品です。私たちの生活は便利になった反面、また新たな問題も抱えています。
スナック菓子やハンバーガーに代表されるジャンクフードやジュース類ばかりを飲食している子は我慢できない、キレやすくなるといわれます。
確かに、ジャンクフードは熱量が高く栄養価が低いので、食べ続けるのは問題です。肥満を引起し、そこから生活習慣病や様々な病気を誘発する可能性があります。
しかし、ジャンクフードを食べることで、結果として食べた子どもが、我慢ができないとかキレやすくなるというのは、あくまで仮説にすぎません。確かに因果関係を疑いたくなりますが、明確に証明されているわけではありません。このように、まるで論理的な根拠があるかのような誤解がよく見受けられます。
その他の例として、「コーラは骨を溶かす」「動物性食品は体に良くない」「酸性食品よりもアルカリ性食品の方が体に良い」「天然・自然の食品は安全だが合成されたものや加工されたものは良くない」
食生活を語る場合は、思い込みや誤解そして情報に振り回されることなく、今何が問題なのかをしっかりと把握することが大切です。
注1:食べ物神話の落とし穴 高橋久仁子著 講談社 17ページ
注2:大手コンビニ11社の店舗数 40,867店舗(2007年5月末現在) フランチャイズ協会
次回は「これからの食生活に求められるもの」です。
(牟田実の食育講座 No.10)
2007.06.25 22:53:41
| きゃりあ塾
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