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「食育講座 シリーズ6 食品の安全2(全5回)」
食中毒とは、飲食物やその包装容器などに含まれるあるいは付着した微生物や化学物質、自然毒、ウイルスなどによって、嘔吐、腹痛、下痢、発熱といった健康障害を引き起こすことです。
食べ過ぎや飲み過ぎ、栄養障害や摂食障害(過食症や拒食症)、食品への異物混入による健康障害は食中毒には含まれません。
食中毒の原因は、大きく微生物によるもの、自然毒によるもの、化学物質によるものなどに分けられます。
発生件数は多くはありませんが、寄生虫による食中毒もみられます。寄生虫とは、他の生物に寄生(宿る)することで、生存しているもののことです。魚介類、肉類、野菜類、飲料水などを介して人の体に寄生します。寄生虫の中には消化器系の健康障害を引き起こすものがあります。
コレラや赤痢なども食品から感染します。1999年4月1日から「伝染病予防法」に代わり「感染症の予防および感染症の患者にたいする医療に関する法律」(「感染症新法」)が施行され、この中で2類感染症として指定されています。
食中毒と伝染病の違いは、食中毒はある程度の菌の量がないと発症しないものの、伝染病は少量の菌で発症し、人から人へ感染するということといわれています。
なお、腸管出血性大腸菌感染症は感染症新法の3類感染症として分類されています。
■細菌性食中毒の分類
食中毒の大部分が細菌性食中毒によるものです。厚生労働省平成17年の食中毒状況(速報値)を見ると食中毒発生件数1,545件のうち細菌性食中毒は1,065件でした。患者数では、総数27,019人のうち、16,678人が細菌性食中毒によるものです。
細菌性食中毒とは食品に含まれるあるいは付着した微生物を体内に取り込むことで発生する食中毒のことです。その発生の過程の違いから大きく「感染型」と「毒素型」に分類できます。
感染型食中毒とは、食品中で増殖した食中毒菌をその食品とともに体内に取り込むことで発症します。そのため、感染してから発症するまで(これを潜伏期間といいます)ある程度の時間がかかります。
毒素型食中毒とは、食品中で菌が増殖する際に産生する毒素を食品とともに体内に取り込むことで、その毒素が原因となって発症します。毒素型食中毒の潜伏期間は感染型に比べると短いのが特徴です。
腸管出血性大腸菌O157はベロ毒素を出しますが、毒素型には分類されずに中間型に入ります。O157やウェルシュ菌は人の腸管に入ってから増殖するので、感染型でも毒素型にも分類されません。そのため、中間型としています。食中毒菌の中には、感染型、毒素型、中間型などのほかに、明確には分類できないものもあります。
感染型
食品中で増殖した食中毒菌を食品とともに体内に取り込むことで発症
毒素型
食品中で増殖する際に毒素を産生し、その毒素によって食中毒が引き起こされる
中間型
人の腸管に入ってから増殖し、毒素をだす
■おもな細菌性食中毒菌の特徴
1.カンピロバクター
細菌性食中毒菌の約6割を占めるもっとも発生件数の多い食中毒菌です。
カンピロバクターには、ジェジュニとコリいうタイプがありますが、実際に検出されるのはほとんどがカンピロバクター・ジェジュニのタイプです。(平成17年の食中毒事故件数1,065件の内645件 厚生労働省データ)菌数が少なくても発症することがあります。そのため、感染型などのタイプには明確に分類できない食中毒菌です。
カンピロバクターの原因食品は、食肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜などがあげられます。最近では、BSE問題が発生し、牛肉に代えて鶏肉を食べるケースが増えていることも発生件数が多くなった理由とみられています。また、飲食店以外でも、キャンプ場でのバーベキューの機会が増えたことや調理実習などで鶏肉に火を十分に通さず生焼けの状態で食べることにより発生しています。
2.サルモネラ菌
サルモネラによる食中毒は、カンピロバクターについで多い食中毒です。
鶏卵や鶏卵の加工品、食肉などが原因食品としてあげられます。熱に弱いために、食品などを十分加熱すれば安全です。また鶏卵の衛生的な取り扱いが求められます。
3.腸炎ビブリオ菌
この菌は海水の濃度の近い3%程度の食塩濃度の環境でよく増殖します。そのため魚介類やその加工品が原因食品としてあげられます。腸炎ビブリオは、増殖のスピードが非常に早い病原菌です。病原性好塩菌で、主な症状は、激しい腹痛(上腹部)と、水様性下痢などで、発熱が見られる場合もあります。しかし、この菌は真水や熱に弱いので、魚介類の調理にあたっては、流水でよく洗うことで防ぐことができます。
4.黄色ブドウ球菌
毒素型食中毒の代表的なものです。この菌の毒素は、エンテロトキシンと呼ばれ、この毒素によって食中毒を引き起こします。この菌の特徴は、熱に強いことです。煮沸によってブドウ球菌自体は死滅するのですが、毒素のエンテロトキシンは熱く、低温にも酸やアルカリにも強い食中毒菌です。人の皮膚や毛髪、鼻腔内や、特に化膿巣に多く存在しています。そのため、手や指に傷がある人やケガをしている場合は調理をしないようにします。
激しい吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などを起こします。
5.ボツリヌス菌
酸素のないところで増殖して、生物化学兵器としても研究されるなど、極めて毒性の強い毒素を産出します。原因物質としては、缶詰、瓶詰、レトルト食品、真空パック食品などがあります。過去の例としては、いずしや辛子レンコンなどがありました。
自然界にはどこにもこのボツリヌス菌は存在しています。蜂場で採取してそのまま瓶詰めにされるハチミツにはごくまれにこの菌が入り込むことがあります。そのため腸内細菌が少なく抵抗力の弱い1歳未満の乳児にハチミツを与えると乳児ボツリヌス症を発症させることがあります。
平成18年には井戸水を飲んだ乳児が、乳児ボツリヌス症を発症したという報告もありました。この菌自体は熱に強いのですが、毒素は十分な加熱で無毒となるために、十分な加熱調理をすることで予防ができます。
6.腸管出血性大腸菌O157
人の腸管内で、「ベロ毒素」という赤痢菌の毒素と似た毒素を産生します。腹痛、出血を伴う下痢、意識障害、けいれんを伴う脳症などを発症し、乳幼児や高齢者が感染すると、重症になったり、死に至るケースもあります。手洗いを励行する、十分に過熱する、調理器具などを洗浄殺菌するなど予防にあたっては通常の食中毒予防と同じよう予防策が有効です。
7.ウェルシュ菌
前日に作ったカレー、スープ、シチュー等大量に調理され、長時間放置された食品が原因食品となります。 そのため、「加熱済みの食品は安全」という常識が通用しないので注意が必要です。
対策としては、一度に大量の調理を行わず、作り置きを避け、調理後はなるべく早く食べるようにします。 加熱調理済み品を冷却する場合は、小分けして速やかに放冷・冷却するようにし、保存した食品を再加熱するときは、ときどきかき混ぜるなどして中心部まで十分に加熱します。
(牟田実の食育講座 No.42)
2007.11.12 20:45:17
| きゃりあ塾
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