「セコムしてますか?」 ホームセキュリティで知られるセコムが、食のビジネスを展開していることをご存知ですか?
「セコムの食」という通販を展開しています。全国から食材を自分たちの足で発掘し、通販事業として展開しています。
先日、セコム本社にお邪魔して、ご担当の特品部 課長の吉田敦様にお話をお伺いしてきました。
「セコムの食」の詳細についてはここをクリックしてください。
1.これまでの経緯
1998年から食の通販事業を始めています。当初は「セコムホームセキュリティ」のお客様向けに発行している会報誌に(案内を)同梱することで始まりました。今年でちょうど10年目になります。現在では、会報誌への掲載と「セコムの食」という季刊カタログを発行。このカタログは約10万部発行しています。
通販ビジネスのネックは誰にどれだけ案内を提供できるかにかかります。その点でホームセキュリティのお客様という資産を活用できました。
2.セコムの通販を差別化するために
(1)セコム理念の徹底
セコムは「信頼される安心を社会へ」というのがコーポレートメッセージ。そこで、医療事業や食の事業が出てきました。いずれも安心を届けるというコンセプトです。
10年前から自然、安心、美味の3つを基本的な考え方としています。
いまではいずれも当たり前となっていますが、つぎの内容をカタログに記載しています。
原材料名と保存料、賞味期限、さらにはできるだけ生産者の名前と顔写真も掲載しています。また、消費期限48時間以内という商品も取り扱っています。これは他の通販では考えられないことと思います。
(2)足で探す
商品の供給元(生産者)は、社員が全国を飛び回って見つけてきます。デパートの物産展、空港や駅の土産売り場、道の駅などを回り、商品を発掘してからその製造元へ直接出向いて話をし、取材をし、記事にしてカタログに記載する。担当者は一年の半分近くを食材探しのために全国を回っています。全国にあるセコムの支社からも情報をもらっています。
(3)素人の発想を
セコムの食担当は、全員が人事異動で社内の他の部署から来ています。つまり食についての専門家、通販の専門家は誰もいません。専門家がいることで円滑にしくみとして動く可能性はあるものの、他の通販と同じような内容になる可能性もあります。
セコムのオリジナリティーを常に出していくことを重要視しています。
通販の課題である、在庫切れ、回転率、効率などを優先はしない、自分たちが提供したい商品を提供するというスタイルに徹底しています。
(4)ターゲット(販売先)
「セコムホームセキュリティ」のお客様からスタートしましたが、現在では、「セコムホームセキュリティ」と一般のお客様が半々の比率になっています。お客様からは「セコムホームセキュリティ」の会報誌(この中に一部セコムの食のコーナーあり)は約43万部発行し、「セコムの食」のカタログは約10万部発行しています。
もっとも重視するのは、生産者がセコムの考え方に共感してくれるかどうか。 セコムとしても、独自で探すことで他の通販との差別化を狙っています。
3.受発注、物流
インターネット、電話、ハガキ、ファックスで受注しそれを生産者に発注。
輸送はヤマト運輸に委託しています。三温度帯(常温、冷蔵、冷凍)で配送。
特に温度管理品については気をつかっています。ヤマトのクール便を使用していますがデリケートな商品は梱包を工夫することでカバー。それでも品質に問題がありそうな場合は商品を取り扱わないようにしています。
このセコムの動きについて新潮社から「おいしいもの、届けます!」(猪口ゆみ著)という本がでています。この猪口ゆみ氏はセコムの社員で通販担当者です。
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