宮内庁御用達 株式会社箸勝本店の山本権之兵衛(やまもとごんのひょうえ)社長にお話をお伺いしました。
奈良県吉野地方の庄屋で、26代目。明治に入り木材の端材で割箸を製造し、東京へ明治43年に進出。東京へ進出してから4代目の社長です。
山本社長は、空手道範士九段で武道の達人でもあります。ちなみに、権之兵衛(ごんのひょうえ)というお名前は本名だそうです。
(箸勝 山本権之兵衛社長)
つぎの文章は山本社長から頂戴したものです。原文を一部変更しています。
「一日一日、何に向かって何を望んで何のために生きるのか? これは、人間の永遠のテーマと言っても過言ではありません。 これは、食事という人間の営みにも通じるように思います。
一日一日、何に向かって何を好んで何のために食べるのか? 人は、ただ生きる、ただ食べるという行為に精神的な意味や目的を得て、充実感や満足感を得る生物ではないのでしょうか? ただ食べるのではなく、美味しい物を美味しく食べて静かな気分になりたい。それには、ただ(箸を)使えればいいではなく、食事をより豊かにしてくれる、いい道具を使いたいものです。
「いいお箸で食べたい」と考える人々の心には、美味しい料理を出してくれる『本物』の店で豊かな食事をしたいと思う気持ちが潜んでいると思います。日本には、一期一会という言葉がありますが、食事もまた一期一会です。(中略)
コンビニエンスストアのお弁当や立ち食いや激安料理店が流行り、臭いにおいのする外国製のささくれの多い粗末なお箸が当たり前になっていますが、そういう時代だからこそ、本物に目を向けて端にもこだわりを持っていいのではないかと思います。お箸は料理の味や食感にまで影響します。いいお箸で食べると料理はさらに美味しいものです。いいお箸で美味しいお食事を!」