「事故米転売」事件がますます拡大の様相を呈しています。農水省をはじめとして、当事者はいずれも責任は別にあると主張。私たちの食生活はどうなるのでしょう。自国の食の安全もしっかり管理できずに、「中国産は管理がずさんだとか危険だ」と言える立場にはありません。
さて、少し前になりますが9月5日の朝日新聞夕刊に、あるインタビュー記事が載っていました。月心寺住職の村瀬明道尼さんへのインタビュー。
事故米転売や責任逃れの対極にあると感じました。ちょっといい話でしたので紹介します。
大津市にある月心寺住職の村瀬明道尼(むらせみょうどうに)さんは、84歳。39歳の時に交通事故に遭い、今でも右半身が不自由。しかし、その精進料理はあの吉兆創業者の湯木貞一さんが「天下一」と絶賛したそうです。(以下は朝日新聞のインタビュー記事から抜粋編集)
★おいしい料理を作るコツは何ですか?
(明道尼)旬のものを安く手に入れ、美しく刻み、手早く調理して、心を込めて盛り付ける。何より重要なのは「君がため」です。大切な大切な人に食べていただくという気持ちで作る。そこに込めた愛情が一つでも欠けたらゼロになってしまう。大根やニンジンもおいしく食べていただくことで成仏する。「料理とは命を預かる仕事であり、何よりも大切な修行」です。
★今の日本では、「食べる」ということが粗末にされているように感じますが
(明道尼)月心寺の箸袋には「功の多少を計り彼の来所を量る」など「食事訓」が書いてあります。表現は難しいのですが、
●食べ物が自分の所に来るまでにかかわった人々の苦労を思う
●自分たちの徳行が少ないのに、この食べ物をいただくことを過分に思い感謝する
●暴飲暴食を慎む
●食事は五体を養う良薬として、悔いのない人生を送るためにいただく
といったことを説いています。
食事が平穏にいただけるということは、平和な暮らしの証し。
親が死んだり、地震や火災に遭ったり、心配事があったりすれば、ご飯がのどを通らなくなる。日に3度もいただけることを感謝して暮らしたいですね。
まさに、さまざまな食品の産地偽装や期限の偽装、事故米の転売、吉兆事件などをみるとこの明道尼さんの言葉を聞かせたくなります。