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味にこだわり続けている老舗「味の浜藤株式会社」の代表取締役社長 森口一さんと、同社執行役員 商品統括部長の神山治泰さんに、最近の惣菜事情や中食事情についてお話を伺いました。
最近は、『屋』のつく店が消えつつあります。たとえば、「八百屋、魚屋、乾物屋」といった「販売する商品」が明確な店舗です。ライフスタイルの変化で、「モノ(商品)」を売るのではなく、「食卓や献立を提案する」形に変わり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアというような屋から横文字に売る形態も変化してきました。森口社長のお話では、今後のライフスタイルを考えていくと、むかしの「魚屋」スタイルを目指したいとの話がありました。
味の浜藤株式会社は、西京漬や練り製品といった水産加工物の製造販売をしている会社です。会社の詳細は こちら
販売は、デパ地下やのれん街に店舗を持ち、すべて対面販売の形式をとっています。神山部長によると、対面販売をしていることで、日々お客様とのやり取りの中で、商品について「おいしい、まずい」、「割高、割安」などさまざまな反応がダイレクトに返ってくるといいます。
西京漬は同社の定番商品ですが、焼き方がむずかしい。だからお客様から焼いたものを販売して欲しいとの要望がある。焼いた物を販売すると、ごはんも一緒に販売して欲しいという要望があり、結果として弁当の販売を「藤兵衛」や「てとて」というブランドで販売をすることとなったとのことでした。
同社のお客様は比較的高年齢層(50代以上が多い)ということもあり、家でなかなか調理をしなくなったという傾向は否定できないとのことでした。練り製品も扱っていますが、以前はおでんの種や野菜と一緒に煮るなど、それらをひと手間、ふた手間加えて料理していたものが、最近は、惣菜として利用されるようになっているとのこと。つまり、練り製品をカットして皿に盛り付けるだけ、あるいはフライパンなどでさっと火を通すだけという傾向が見られるそうです。ですから、最近は商品開発にあたっても、電子レンジ、オーブントースター、フライパンといった調理器具の範囲内を意識しなければならないとのことでした。
同社はつねに「おいしさを」最大のテーマとしているそうです。「おいしさ」とは、個人の嗜好や環境などによって違いますので、数字で測れるものではありません。しかし、毎日食べて飽きない、もっと食べたい、また食べたいと感じるものが「おいしさ」と考えているとのことでした。
お弁当を開発するにも西京漬に合う、ご飯、つけ合わせ、香の物と考えていくと、結局すべて自分たちで素材を選んでつくることになり、非常に手間をかけて作っているとのことでした。
同じ魚でも、産地、大きさ、漁獲の時期、漁船の鮮度管理方法によって味は大きく異なり、その中で、同じ仕上げ(おいしさ)にしていくことがむずかしさであり、同社の強みでもあるようです。
さて、冒頭の森口社長の「むかしの魚屋スタイル」に話をもどします。
昔の魚屋は、魚を販売しているだけでなく、仕出しもしていました。刺身の盛り合わせや、ブリ大根というように、ケータリングサービスもしてくれました。今後、少子高齢化による単身者世帯の増加をはじめ、さまざまな理由で食事を作らないということが考えられ、ただ商品を販売するだけでなくそういったサービスが求められるのではないかとのことでした。
最近は、食文化でも「ハレ」と「ケ」の区別がなくなりつつあります。母の日弁当、お花見弁当、行楽弁当など「ハレ」という非日常性を意識した商品開発の繰り返しが、実はもっと食べたい、すなわち「おいしさ」につながるのではないかとのことでした。
おいしさとは「心を豊にすること」であると森口社長は話されていました。
たしかに、安いから、簡単だからといって適当に食事をしてしまうと「心が貧しくなってしまった」と感じます。
2007.04.27 08:33:17
| 食彩人
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