目標管理制度を導入し、その成果に応じて賞与や昇給に反映させるという企業が多くなりました。
目標を設定して、上司と「フィードバック」というのを行います。
しかし、このフィードバックがむずかしい。なぜなら言葉ひとつでやる気にもさせるし、反発されることもある。その結果、うまくいくと個人の能力も引き出せ、組織として活力も出て、成果につなげることができる。フィードバックをうまくやらないと人間関係がぎくしゃくする、やる気がなくなる、やってもやらなくてもあまり変わらないから適当にやっていればいいやという気持ちになる。
不思議です。
ファシリテーションの大事な技法に言葉の使い方があります。
それは心理的な要素が強くて、<言葉の使い方=相手の心理を読む力> でもあります。
次は会社での上司と部下の目標管理に対するフィードバックの例です。
上司:「目標に対して80%の達成率だったな。20%は何で達成できなかったと思う?」
部下:「はい、実は一部が翌期にずれこんでしまいました。何とか今期に実績が入るようにもう少し自分の努力が必要だったなと思います」
上司:「そうだな。フォローをしっかりできれば目標達成できたな。来期はお客様フォローそこが課題だな。次回はこのフォローをしっかりやることで100%達成になるように頑張れ。応援してるぞ。君ならできる」
部下:「ありがとうございます。がんばります」
よくあるフィードバックです。しかし、これではフィードバックになっているとは言えませんね。
「フィードバック」とはある行動の事実やその結果の情報についての評価・認識をし、これから行う行動方法を最適化に導くため、お互いが情報を提供したり、受け取ったりする相互情報交換のプロセスです。この相互情報交換とは、お互い同士の認知・考え方・感じ方・価値観・行動の仕方の相違点などを認め合うことです。
情報の相互交換において受け手にとって何らかのプラスになるものをバックすること。まさに、feed(食物、材料、情報を与える・・・命の源泉、栄養)をバック(戻す)すること。これがフィードバックです。
「こうしなさい(You must do it)」ではなく、「一緒に考えよう(Think together)」の姿勢。
ただし、フィードバックは「 一緒にやろう(Do together)」ではありません。やる主体はあくまで受け手(ここでは部下)です。
上記のフィードバックの例では、上司は、たぶん一応問題点を指摘し、翌期に向けて部下に適切な指導をしたと勝手に思っています。
部下は部下で、上司との面談というハードルを一つ越えた。あまり説教されずに済んだ程度にしか思っていないのではないでしょうか。
このフィードバックで次期は目標が達成できるとは双方ともたぶん考えていないでしょう。
フィードバックの手法を勉強しながら<言葉の使い方=相手の心理を読む力>を勉強していきましょう。
つづく