聞くというのは、簡単そうで非常にむずかしい。
身近な人から「話を聞いてるの?」とよく言われます。こちらは聞いているつもりなのですが、話している本人からすると聞いてもらってないと感じる。それは、その態度にもあるようです。
聞くことはコミュニケーションの基本
わかっていてもなかなかできない
この「聞く力」こそがファシリテーションそのものともいえます。
■聞く、聴く、訊く
聞く、聴く、訊く さまざまな「聞き方」があります。英語で言うとそれぞれ hear, listen, ask
カウンセリングなどでは「傾聴(けいちょう)」という言葉があるように「聴く」を大切にしています。
しかし、ここでは特に「訊く」について考えてみたいと思います。
訊く=質問力 ともいえます。
■答えられない質問はしない
営業会議の席で、上司から答えられない質問をされて、部下が答えられないでいる姿を目にします。
答えられないから叱責を受ける。
あるいは、叱責を受けるのがいやだから適当に答えるというようなことが、ある会社の業務支援をさせていただいたときによく見かけました。
上司「君の営業目標値に対してまだ70%しか達成していない。あと1カ月で期末だがあと30%どうするんだ」
部下「がんばります」
上司「がんばりますではなく、具体的にどうするんだと聞いている・・・」
実はこれは、部下からすれば答えにくい質問です。あと30%どうするかのめどが立っていれば、あえて上司が会議で聞くようなことはないはずです。
つまり、目途が立っていないからどうするんだと聞いている。
これは部下からすれば「言ってる方は楽だよな。 そんなに言うなら、あんたやってみたら?」と心のなかで思っているかもしれません。
まず部下が答えられる質問をしていくといろいろと見えてきます。
たとえば、
「○○商事への売上実績が伸びていないけど、○○商事には今月何回訪問した?」
これは、答えられます。「1回です」
「1回伺ってなかなか商売は成立しないよな。次回はいつ行く予定?」
「来週の火曜日の午後です」
「先方の窓口の担当はだれとアポとったの?」
このように答えられる質問を繰り返していくことで問題点が明確になってきます。
「あと30%どうするんだ」では、「がんばります」という精神論で終わってしまいがちになります。
続く