TPPの議論が大詰めになってきました。この大詰めとは、議論が煮詰まってきたということではなく、時間がなくなってきて、結論を出さざるを得ないという意味です。
たぶん、国内を二分している意見が、これから時間をかけても、決して一つになることはありません。
それぞれの立場があれば、それぞれの主張があるのですから。
ここは、自分の軸足を見据えて、国のリーダーである野田首相がこうすると決める時だと思います。
当然、決めたことについても賛否両論でてきます。
どうも幕末の日本に似ています。フェイスブックでどなたか面白いことを言ってました。
「尊農攘夷」運動が起きていると。 なるほど。
さて、今回のTPP議論をみていて思い出すことがあります。
それは、1995年の期限表示への移行問題です。
それまでは、我が国の加工食品は、製造年月日表示でした。
これに対しても、大反対の声が上がりました。
当時の反対意見は次のようなものです。
1.期限表示は貿易障壁解消という名目の外国、とくにアメリカの、我が国への押し付けである
2.輸送期間がある外国からの食品も、製造年月日がわからないと新鮮なような誤解を消費者に与える
3.人間本来がもつべき、食べられるかどうかの判断をしなくなる。期限をみて廃棄するなどの問題がでる。
4.期限表示に変わったことで、海外から加工食品が大量に入ってくる
あれから16年たち、今はどうでしょうか?
確かに、メリットデメリットはあります。
しかし、定着をしています。それをきっかけに、食品表示に対する考え方も大きく変わりました。
今回、TPPに反対している人たちのご意見は、すぐにても農業が崩壊する、医療制度が崩壊するといった感じを受けます。確かに、影響が全くないとはいえません。
アメリカの思惑を日本に押し付けてきているという意見もあります。
オバマ大統領の選挙前の点数稼ぎという意見もあります。
まさに、「尊農攘夷」。
しかし、TPPに参加しないと、一次産業従事者の高齢化は止められるのでしょうか?
農家の生活保障はできるのでしょうか?
そして、食料自給率は上がるのでしょうか?
これまでそういった対策は、多大な予算をかけて講じられてきたはずです。
百歩譲ってそうだとしても、70億人の人口をかかえる世界は、一国だけで何か対策を講じる時代ではなく、多くの国との関係の中で考えるものだと私は感じています。