「便所食べ」といってトイレの個室で食事をするという学生がいるという話をメルマガ「食彩人通信」でご案内したことがあります。先日NHKの番組でも一人で食事ができないという学生についての特集をしていました。
そういえば、少し前には、人との関係が煩わしいので孤食(一人で食べる)や個食(家族がバラバラのものを食べる)になるという指摘がよくされていました。
今度は一人では食べられない。これはどういうことなんでしょう。
今年大学に入学した学生と話をして一人食べについて聞いてみました。彼女も「学食で一人で食事をするのは抵抗がある」と話をしていました。
大学は中学や高校と違い、授業科目は自分で選択するので、朝から同じメンバーで授業を受けるということはありません。部活やサークルに入らないかぎりなかなか友達をつくるチャンスはありません。
先日ある大学の入学式風景をテレビのニュース番組で中継していました。インタビューアーが父母に次のような質問をしました。
「ご子息が大学に入られてどんな学生生活を過ごしてもらいたいと思いますか?」
この質問に対して、お母さんの答えは「友達をたくさん作れるといいと思います」と答えていました。
これを聞いたとき、まるで小学一年生みたいだなとビックリしました。
しかし、いろいろと学生さんからを聞いてみると今になってお母さんの答えが理解できます。
なぜ一人で食事をするのに抵抗があるのか。それは、一人で食べていると「あいつ友達がいないんではないかと思われるのがいやだ」ということだそうです。
私などは、気の合わない友達と食事するくらいなら一人で食事したほうが数段おいしいと思いますが、最近はそうではないそうです。
前述のNHKの番組(クローズアップ現代)の中に出てきた学生の携帯電話に登録してある友達の数も700とか500とかすごい数でした。
メールも一日平均40から50は出しているとか。受信も同じような数が来るそうです。
メールを出したりもらったりするのが友達の証だそうです。メールがないと友達いないと思われてしまう。
だから用が無くてもメールを出すとのことでした。
一人で食事は「友達がいないさびしい奴」と思われたくない。気持がわからないでもないですが、だからトイレの個室で誰にも見られず食事をするというのはどうも理解しがたいです。
食事がいただけるという幸せを感じるよりも他人の目に対する感情が優先されるのはさびしいな。