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広告に見る食の構造的問題

 2008年9月22日の主要朝刊各紙の一面を使って、西酒造(薩摩焼酎「宝山」のメーカー)が新聞広告を出しています。
 タイトルは「きちんとお伝えする責任がある。私たちは、初めて新聞広告を掲出いたします。」というものです。
 この広告には、意外にも商品回収や迷惑をかけたことなどに対する謝罪の言葉は一切ありません。内容としては、いわゆるお客様からの問合せを集約したFAQ(よくある質問)に対する回答といった感じでした。
この広告からいろいろと考えさせられました。



 何かトラブルが発生して商品回収などをしたことに関する広告は、「ご迷惑とご心配をおかけして申し訳ない。健康被害の報告は受けていない。安全性には問題がないが商品は回収する・・・」といった類のものが一般的です。

 今回の西酒造の新聞広告は、次の文章ではじまります。
「焼酎は飲んでいただいて評価されるものという考えから、西酒造はこれまで広告を通じて皆様へメッセージをお届けすることを控えてまいりました。しかし、私共へ納入された焼酎用麹原料の米穀の一部が不正流通米である可能性があったことにより、薩摩宝山をご愛飲いただいているお客様にご心配をかけ、ご不安を抱かせてしまう結果となりました。それに伴い、連日、たくさんのお問合せもいただいています。焼酎を造る者の責任として、皆様のご質問に答え、きちんとこの件について事実を報告し、ご安心いただくことが大切であると考え、この度初めて新聞広告で皆様とお会いすることになりました。」
(原文のまま)

そして、この広告はFAQ(よくある質問)の内容に続きます。(質問は原文のまま。回答は要約)
■なぜ、薩摩宝山を自主的に回収することを急いだのか?
九州農政事務所から不正米が混入している可能性があると連絡を受け、お客様の安全に関わる問題であったので、一刻も早く回収しなければならないと考えた。その後、分析結果問題物質は検出されていない。
■今回の不正流通より以前に造られた薩摩宝山は安全なのか?
九州農政事務所からそれ以前の納入原料には混入の可能性はないといわれている
■芋焼酎なのに、なぜ原料に米を使用していたのか?
アルコールを作るには、麹菌で原料を糖化する必要がある。しかし、芋だけでは麹菌が繁殖しにくく米の手助けが必要。芋焼酎の場合、「麹づくり」の工程にだけ米を使っている
■原料を安く仕入れ、利益を得ようとしたのか?
今回購入した米の85%は100円前後(1kgあたり)、残りの15%が73円?80円(同)、組合米の価格が80円?85円なので不当に安く仕入れていない
■薩摩宝山以外の銘柄に不正流通米は使用されていないのか?
全ての原料の納入会社に問題はない。

 広告を読んでいて、この西酒造自体今回の件でかなり「怒り心頭」という姿が見えてきます。自分たちも被害者。納入業者に完全にしてやられたという感じです。そのため、西酒造としての謝罪はないのでしょう。
 
 ここから見えることは、流通の複雑化です。
安定した量や安定した味を確保するためには、原材料もこだわらなければなりません。「こだわる」というのは、同じ銘柄、同じ産地にこだわるという意味ではないと思います。 たとえば、国産が不作であったり、天候の関係などで味が安定しなければ、あるいは量が確保できなければ、味や品質を安定させるために外国産で同じようなものを求めなければならないこともあります。もし途中で加工の過程が入ることがあるかもしれません。その場合どこまで原材料の確認や製造工程の確認ができるかと考えると、きわめて難しいといえます。つまり、「こだわり」ついては、立場によって解釈の違いがあるとおもいます。

 今回の不正米事件では、焼酎、加工食品、学校給食、病院施設などまで広がっています。食の流通のあり方が極めて複雑化しているのがはっきりしました。

 食の安全を語るとき(食育活動などでも)、生産の現場や、食べる部分(栄養のことなど)は取り上げられがちです。しかし、実はこの流通部分が我々にとって一番「肝」となる部分であります。
にもかかわらず一番見えない。
 今後ますます生産と消費の距離が広がります。その距離を埋めるのは「流通」なのです。
今回の広告であらためて、このことを感じました。


2008.09.23 06:35:42 | 食彩人 | コメント (0) | トラックバック (0)

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