事故米の不正転売事件は、三笠フーズだけでなく名古屋の業者、四日市の業者も不正転売していることがわかりました。今回の不正転売は、産地偽装や期限表示の偽装とは比較にならないほど重大な問題であることは確かです。
そもそも、なぜ農薬やカビで汚染された事故米を日本政府が買わなければいけないのか?ここが疑問です。 この背景を考えると、この事件の真犯人像が見えてきます。
太田農相は、記者会見で「事故米は食用に販売してはいけない契約にもかかわらず、食用に販売したので契約違反にあたる。そこで、違約金をとることにした」との話がありました。これは、完全に責任転嫁の発言と思われます。
なぜ事故米を日本政府が買い上げたのか?
これは、ウルグアイラウンドでミニマムアクセスにより日本が一定の量のコメを輸入しなければならなくなりました。もしミニマムアクセスを承諾しなければ、700%以上という関税を撤廃しなければならず、そうなると日本のコメ作農家は壊滅的な打撃を受けます。
ここからは私の独断と偏見によるものです。真相はわかりません。
日本政府がコメを輸入しなければならないとすれば、当然国内のコメ作農家に影響が出ない形で輸入をしなければなりません。もうひとつは、できるだけ安く買う。そこででてきたのが、事故米を輸入することで両方が解決できます。食用でなく工業用とすることで農家には影響が出ない。しかも、安い。さらに、ミニマムアクセスの一定量のノルマを果たせる。まさに一石三鳥です。
しかし、ここからが問題。
農水省は輸入した事故米を工業用として入札を実施しました。
農政局は旧食糧庁で、食管法が廃止されてから農政局となりました。農政局の新たな仕事は「食育推進」。そこが入札を実施しても、当然食用で取り扱っている業者しか来ないでしょう。本気で工業用として入札をする気であれば、経済産業省など他の省庁に転売してから実施するのが自然だと思います。 米穀業者三笠フーズの取引先は食用の企業ばかりで、工業用があるとは思えません。それを知っていて、農水省は入札をしているということは、転売されるのをあらかじめ予想していたのではないかと疑われます。
農水省は、100回近くも立ち入り調査をした。書類を偽装していたのでわからなかった。農水省もだまされたという図式にもっていくことで、責任転嫁ができるという仕組まれたシナリオに見えます。
なによりも、農水大臣、農水事務次官の記者会見を聞いているとまさにシナリオどおりなのですが。