「ハレ」と「ケ」という言葉を聞いたことがありますか。
「ハレ」とは特別な日のこと。「晴れ着」や「晴れ舞台」の「晴れ」のことです。
「ケ」とは日常のこと。「ハレ」や「ケ」には、食事が伴います。
大手ファミリーレストラン「すかいらーく」の社長が解任されたというニュースがありました(2008年8月13日)。
このニュースをみて、「ハレ」と「ケ」という考え方が大きく変わっているのを感じました。
入学や卒業のお祝いにみんなで食事をしよう。これがまさに「ハレ」です。誕生日、入学、卒業、就職、結婚などの人生の節目や、お祭りや収穫祭などの地域の祭事などそういった特別の日のことを「ハレ」といいます。
そこには、「特別の日だから食事をしよう」ということがよくあります。外食はこの「ハレ」の日にはつきものでした。私にとって、子どものころ、デパートの食堂で家族と食事をすることは特別の日の出来事でした。
ファミリーレストランもはじめは「ハレ」の食事をする場所でした。しかし、外食や中食が当たり前になりつつあり、「ハレ」と「ケ」の境がなくなりました。
つまり、「ハレ」が「ケ」になったのです。
牛丼をチェーン店で食べるのは、決して「ハレ」(特別の日)の出来事ではなく、「ケ」そのものになりました。まさに「ハレ」から「ケ」へ。
すかいらーくに限らず大手ファミリーレストランはどこも苦戦しています。この理由は、家族がそろって一緒に食事をするという機会が少なくなったこと、ガソリン代の高騰により車でわざわざ食事に行かなくなったこと、値上げで外食は一層の割高感が出たなどがあげられます。
孤食や個食が言われますが、家族がそろって食事をするという場面が少なくなり、むしろ家族が一つの席に集まって食事をすること自体が特別の日(ハレ)となってしまっています。
これは「ケ」が「ハレ」になっているのです。
これまでは外食産業は「ハレ」の演出をしていました。あるいは、家庭料理やお袋の味といった「ケ」の演出をしてお客様を呼んでいました。
しかし、ハレからケへそしてケからハレへという流れの中で、外食産業はいずれもこれまでのような提供方法では、なかなかお客様を呼びにくくなっています。
ファンド主導ですかいらーくは再建策を実行していくとのことですが、どのファミリーレストランもその生き残り策に注目したいと思います。