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「食育講座 シリーズ7 食を取り巻く環境1(全4回)
今回が最終シリーズです。食を取り巻く環境について考えます。
■驚くべき食品廃棄の量
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、消費期限あるいは賞味期限が過ぎたもの(実際には期限到達日以前ですが)は、廃棄されます。これらの食品廃棄の量は年間60万トンに及びます(2003年農水省推計)。
人が一日に必要な食品摂取量を1000gとすると、何と一日あたり165万食分が廃棄されていることになります。
わが国の食料自給率は40%(注)にもかかわらず、食品廃棄物の発生量は1,135万トン(平成16年農林水産省食品循環資源の再生利用等実態調査結果から)で国民一人あたりに計算すると年間約90kg以上となります。
注:平成17年度カロリーベース概算値 農林水産省データより
私たちは、欲しい物を欲しい時に手軽に手に入る環境の裏では、こういった無駄が数多くあることを意識しなければなりません。言い換えると、生産と消費の距離がますます開きつつある中で、食生活の外部化がいっそう進んでいます。それによって消費者の生産や食に対する関心が薄れてしまっているといえます。
私たちは、自分たちが口にする食品の鮮度や安全性、栄養価には目が向いても、自分たちの食は、世界の食事情の中ではどのようになっているのかということがなかなか見えなくなっています。
■コンポストと3R
家庭での食べ残し(食品ロス)率は食品使用量に対して4.1%となっています(農林水産省大臣官房統計部 平成17年度食品ロス統計調査)。
こういった家庭から出る生ゴミや飲食店などから出る食べ残しを、微生物などを利用して発酵させ堆肥化したものあるいは、その装置を「コンポスト」と呼んでいます。微生物以外にも、乾燥させて体積を小さくする、炭酸ガスと水に分解するなどいくつかの方法があります。
コンポストも環境問題を考える時に重要ですが、その前にいかにゴミの量を減らすか(リデュース)ということのほうが大切です。
3Rとは、リサイクル(Recycle)、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse) で環境問題のキーワードといわれています。
「リサイクル」とは、再利用するということです。古新聞や雑誌、ペットボトル、空き缶などを回収して新しいものに作り変え再利用します。
「リデュース」とは、ゴミの量を減らすということです。もっとも大切なことで、余計なものは買わない、使い捨てのものでなく使い回しができる物を利用するなどしてゴミの量を減らす努力をするということです。
産業界において生産活動結果廃棄物をゼロにする運動のことを「ゼロエミッション」といいます。これは、国連大学が提唱しているもので、循環型の産業システムを目指すというものです。
「リユース」とは、再使用するということです。古着や中古品がこれにあたります。リターナブル瓶でビールやお酒、ジュースなどを回収して再使用するというのもあります。あらかじめ商品代金に一定金額を上乗せして容器を回収するときにその一定金額を戻すというしくみを「デポジット制度」といいます。リユースを効果的にすすめるための手段のひとつです。
■環境保全のための法律
平成7年6月、循環型の新しいリサイクル社会の構築をめざす「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が制定されました。これは、大量生産・大量消費に伴い、廃棄物の量も多くなりました。この一般廃棄物のうち、容器包装にかかわるものが約6割あります。(環境省 平成17年度容器包装廃棄物の使用・排出実態調査)そのため、容器包装廃棄物の処理が優先課題となり平成7年に容器包装リサイクル法が施行されました。法施行後10年たった平成18年に改正容器包装リサイクル法が施行されました。
この容器包装リサイクル法は、消費者、市町村、事業者の三者が一体となって容器包装廃棄物を削減していくことを義務付けたものです。
消費者は廃棄物を分別して出す、市町村は分別収集する、事業者(容器の製造事業者・容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者)はリサイクル(再利用・再商品化)をするというものです。
容器包装リサイクル法の沿革
●平成7年 容器包装リサイクル法 制定
●平成9年 容器包装リサイクル法 一部施行(びん、缶、ペットボトルなど)
●平成12年 完全施行(紙製容器包装、プラスチック製容器包装)
●平成18年6月 改正容器包装リサイクル法 成立
●同年 12月 改正容器包装リサイクル法 一部施行(罰則強化、基本方針改正など)
●平成19年4月 改正容器包装リサイクル法 本施行(容器包装廃棄物の排出抑制(リデュース)など)
●平成20年4月 改正容器包装リサイクル法 完全施行(事業者から市町村に資金を拠出する仕組など)
(出典:環境省 ホームページから)
容器包装リサイクル法に続いて、家電、食品、建設資材、自動車の各リサイクル法も制定され、これらが循環型社会を実現させるための法体系として整備されました。
(牟田実の食育講座 No.46)
2007.11.26 21:32:51
| きゃりあ塾
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