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「食育講座 シリーズ4 食品とは2(全9回)」
食品の「製造」と「加工」に関して、食品衛生法およびJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)では次のように定義されています。
◆食品衛生法(食品衛生法施行通達において)
「製造」の定義 「あるものに工作を加えて、その本質を変化させ、別の物を作り出すこと」
「加工」の定義 「あるものに工作を加える点では製造と同じであるが、そのものの本質を変えないで形態だけを変化させること」
◆JAS法(JAS法加工食品品質表示基準Q&Aにおいて)
「製造」の定義 「その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出すこと」
「加工」の定義 「あるものを材料としてその本質は保持させつつ、新しい属性を付加すること」
「製造」に関しては、食品衛生法もJAS法も内容的には同じといえますが、「加工」については、若干の差があります。食品衛生法では人為的な何らかの工作が加われば加工食品となりますが、JAS法では、生鮮食品を組み合わせる(例:刺身の盛り合わせ)ことも加工としています。
■食品加工の目的
食品加工の目的にはつぎのようなものがあります。調理の目的と似ていますが、加工やより大規模に行われます。
1.保存性・貯蔵性を増す。長時間・長距離の輸送や長期の保管を可能にする
2.切る、砕く、すりつぶす、やわらかくするなど食べやすくする
3.付加的な価値(嗜好性や娯楽性)を高める
4.価格の下落を防ぐ(加工することで、収穫期間以外の時期にも安定的に供給が可能となるため、需給調整ができる)
5.食品が持つ栄養価を調整したり強化することができる
6.安全性を確保する
ライフスタイルや価値観の多様化を受けて、さらに新しい技術の導入で食品加工のバリエーションも豊富になってきています。特に、粉食のうち小麦の加工品(パンやパスタ類)が私たちの食生活の欧米化に拍車をかけたといわれています。
加工の程度によって、一次加工食品、二次加工食品、三次加工食品、数次加工食品と分かれます。
加工食品のメリット・デメリット加工食品を使うことによって、衛生的なリスクを抑えることができる。歩留まり(魚類や野菜、果実、穀類など材料全体の中で食用に適する部分のこと)がよくなることで計画的な調理が可能となる。調理時間を短縮できる。献立の幅が増える。本格的な味付けが楽しめる。煩雑な調理が必要なものでも、簡便に作ることができるなどのメリットがあります。一方で、使用される食品添加物の安全性、容器包装材料などが廃棄物となる、またその容器包装材料に有害物質を含む可能性があるなどの問題も指摘されます。
■見直される発酵食品
発酵とは、食品中の糖質やたんぱく質が微生物の働きによって分解され、私たちにとって有益となる変化のことをいいます。
みそ、しょうゆ、漬物、清酒など発酵を利用した食品を私たちはとってきました。
発酵食品は、消化や吸収が良い、腸内環境をよくするといったことから見直されています。また、あらたに植物性乳酸菌をつかった商品なども販売されています。
発酵食品は、素材のもつ味や風味を豊かにし独特の香りやうまみに変化させたものです。また、発酵食品には保存性を高める働きもあります。
主な発酵食品。( )内はその食品製造に関係する主な微生物
パン(パン酵母)、ワイン(ワイン酵母)、ビール(ビール酵母)
ヨーグルト(乳酸菌)、納豆(納豆菌)、かつお節(麹カビ)、漬物(乳酸菌)
チーズ(乳酸菌、白カビ、青カビ)、清酒(清酒酵母・麹カビ)、しょうゆ・みそ(酵母、細菌、カビ)
■食品の貯蔵
生鮮食品は時間の経過とともに劣化し、食に適さなくなります。また、旬があり、収穫期以外の時期に安定して食べるということはできません。
そこで、貯蔵の技術が考えられました。今もむかしも、少しでも新鮮な物を新鮮なまま食べたいというのは消費者の願いです。それに答える形で提供する側も、鮮度をいかに保てるかが求められます。
貯蔵法としては、缶詰・瓶詰のような空気を遮断する方法、塩蔵法(塩の代わりに、砂糖や酢漬け)、乾燥法、くんえん燻煙法、発酵によるもの、レトルトなどがあります。現代では、冷凍技術や冷蔵技術が進歩し、コールドチェーンと呼ばれる産地から小売まで温度管理することで鮮度を保ったままの供給や保管が可能となりました。また、食品添加物や加工の技術によって保存方法も多様となりました。
次回は「食品表示を読む」です。
(牟田実の食育講座 No27)
2007.09.03 22:22:56
| きゃりあ塾
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