「早寝早起き朝ご飯」運動が盛んに叫ばれています。
内閣府発行の平成19年度「食育白書」32ページに次のような記載があります。
「国立教育政策研究所の調査によると、毎日朝食を食べる子どもほど、調査した小学校の5年生から中学3年生のすべての学年・教科において、ペーパーテストの得点が高い傾向にある」
つまり、朝食をしっかりとる子は成績が良い、朝食をとらない子が成績が悪いというように取れます。ここに落とし穴があります。
ある県の教育委員会では学力向上策を盛り込んだ小冊子を保護者向けに作成し、家庭で行うべきことの第一に「朝食を必ずとらせる」を掲げたとのことです。(読売新聞2008.3.25)
確かに、裏づけとして調査してデータがあり、そこに朝食を食べる子はペーパーテストの得点が高い。それは朝食と学力には相関関係がある(何らかの関係がある)とは推測されますが、因果関係(原因と結果)にはなりません。
つまり、朝食を食べる(原因)と成績が良くなる(結果)の関係にはありません。
朝食を食べていても成績の悪い子はいるかもしれません。朝食を食べなくても成績の良い子がいるかもしれません。その証拠に前述の国立教育政策研究所の調査は「高い傾向にある」という言い方をしています。
言い換えると、相関は考えられても、因果はないといっています。
つまり、朝ご飯をたべるからといって必ず成績が良くなるとは限らないということです。
朝ご飯を食べる子は、生活習慣がしっかりしているので、勉強の習慣がしっかりついているということも考えられます。
食品表示で、「この食品を毎朝しっかり朝ご飯として食べれば成績がよくなります」とは表示できません。優良誤認となり、法律違反となります。最悪罰金刑が課せられます。
なぜなら因果関係が明確でないからです。
食育白書やある県の教育委員会の小冊子はこれと同じ間違いを犯しています。
「キレやすいのは、栄養のバランスが悪いから」というのと同じ危うさがあります。