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「食育講座 食を取り巻く環境 6」
私たちは、毎日スーパーやコンビニに出かけます。
スーパーやコンビニは小売店です。毎日接している小売ですが、小売についてはあまり理解できていません。その先にある卸売りとなるともっとわかりません。
しかし、卸売りや小売店があるから私たちは、新鮮な食材が手に入るのです。
■卸売りの機能と種類
卸売りとは、生産者と小売業者の間にあって、流通を介在している業者を指します。問屋とも呼ばれます。
一般的には、卸売りは小売業者に商品の販売を行いますが、一般消費者には販売しません。
卸売り BtoB(Business to Business)企業間取引
小売業 BtoC(Business to Consumer)企業・消費者取引
卸売りが小売の機能をもつ場合、またその逆のケースもあります。
1.卸売業の機能としては、以前にご紹介した流通の機能がそのままあてはまります。
(1)商流機能
取引業務、商品の品揃え業務、小売業者への販売促進サポート業務など
(2)物流機能
複数の生産者からの集荷・中継・仕分け・在庫・輸送配送・流通加工業務など
(3)金融機能
立替・融資・危険負担(注)・与信管理業務など
(4)情報収集と発信
商品情報、新製品情報、マーケット情報、価格情報、競合情報などさまざまな情報を収集・加工・発信する業務
2.卸売りの種類
経済産業省の商業統計調査の産業分類対応表では、取り扱う商品によって、卸売業を次のように分類しています(抜粋)。
(1)繊維衣服等卸売業
(2)飲食料品卸売業
(3)建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
(4)機械器具卸売業
(5)その他の卸売業
一般のビジネスの中では、卸売業(問屋)をつぎのような呼び方をしているケースを多く見かけます。
1.機能による分類
(1)総合機能問屋:商流機能・物流機能・金融機能・情報機能をすべて兼ね備えた卸売業
(2)現金問屋:「キャッシュアンドキャリー」と呼ばれる。物流機能と金融機能がない。小売店が問屋に足を運び、現金決済し商品を持ち帰るというもの
(3)配送特化型問屋:「ベンダー」と呼ばれ、コンビニエンスストアなどに多頻度小口配送に特化した卸売業
(4)卸売市場:生鮮三品、生花などを生産者や出荷団体、集荷業者から集め、これを仲卸業者(仲買人)を中心に売買(せり)により価格を決めていく。中央卸売市場と地方卸売市場がある
(5)卸売団地:市街地に分散立地している中小卸売業者を地域に集約することで、共同物流、共同商品管理、共同情報管理など中小企業の機能の高度化を目指したもの
2.流通システムによる分類
(1)販売代理店:ある商品の販売を独占的に任せられた卸売業
(2)特約店:特定のメーカーと契約を結び、販売を任せられた卸売業
(3)系列販売:メーカーが自社製品販売の専属的に行う卸売業
3.商流における段階による分類
一次問屋・二次問屋・三次問屋メーカーと小売の間に介在し、メーカー側から一次、二次、三次となる
4.立地による分類
全国問屋、地方問屋、産地問屋
注:ここでいう危険負担とは、生産者や小売業者に代わって、在庫の確保や、資金負担、返品引受けなど商取引上発生するさまざまな危険(リスク)を指します。
■不透明な日本的商習慣
わが国では長い間、化粧品、家電製品、ビール、自動車、自転車、フィルムなどのメーカーが流通を主導する形をとられていました。卸売りや販売店までを組織化して自社の製品を販売する形態です。こうしたスタイルが、外国製品を締め出している非関税障壁の一つとして外国から指摘されていました。
これまで業界保護のために、さまざまな規制や免許制度、登録制度、検査などのほかに、業界団体が自主的に設けた規制も数多くありました。
建値(たてね)制度(流通の各段階での価格をあらかじめメーカー側が決めておくこと)やリベート(卸売りや小売に対して支払われる販売支援金や販売促進費など)などはその代表的(注)なものです。
また、小売や卸売りの力が強い場合も、返品制度や商品添付、押し付け販売(注)といった商慣習が流通の透明性を欠くと指摘されています。
わが国では、メーカーから小売店までの間に多くの卸売りが入るなど取引が複雑化しています。さらに日本的な商慣行が、取引の透明性や公平性を欠き、消費者にとっても不利益となっていました。
規制緩和を外国から求められ、2000年(平成12年)に大店法(大規模小売店舗法)が撤廃され、新たに大規模小売店舗立地法が制定されました。さまざまな規制緩和も進み、外国からの参入や新しい小売の業態などが現れるようになりました。
(注)その他の日本的商慣行
●一店一帳合:メーカーが卸売業者に対して販売先の小売業者を特定し、また小売業者に対してもその卸売業者以外とは取引させない制度。主にブランド力のあるメーカーが行ってきた制度
抱合せ販売:不人気な商品を売れ筋商品につけて販売すること。セットにしないと売らないという販売方法
●返品制度:商品を購入あるいは仕入れ後に買い手が売り手に商品を戻す行為。品質不良などによる返品であれば問題ないが、買い手側の都合での返品は公平性を欠く
●商品添付:小売店向けの販売促進として、注文の数量に上乗せして商品を納品すること。通常この上乗せ分は無償としている
●押し付け販売:有力小売業者が仕入先のメーカーや卸売業者に対して、特定の商品を交わせるように強要する行為。取引上の「お付き合い」的な性格のものから、力関係による「弱いものイジメ」的なものまである
■業種から業態へ
消費者を対象とする小売の形態も、消費者のライフスタイルの変化に対応してその販売の形態も変化してきました。
「業種」から「業態」に変化しています。「業種」取り扱っている商品毎の種類で分類したものです。八百屋、魚屋、米屋、酒屋というようなものです。
「業態」とは「営業形態」のことで、取り扱っている商品ではなく、品揃え、店舗の運営方法など顧客のニーズに合わせた営業形態をいいます。
ターゲットとなる客層を絞り込む、品揃えを考える、店舗の立地、営業時間、価格設定、接客方法などさまざまな「営業形態」があります。
たとえば、スーパーマーケットに行けば生鮮三品(青果・鮮魚・精肉)や一般食料品や日用品を一箇所で購入することができます。ワンストップショッピングといいます。
コンビニエンスストアでは、24時間営業をしており、必要最低限の品揃えがなされています。ドラッグストアは医薬品だけではなく、Health and Beauty Care(HBC)という切り口で、医薬品、基礎化粧品やトイレタリー製品(ボディーソープ、シャンプー、リンス、洗剤、芳香剤など)そして日用品まで販売しています。
つまり、「業態」とは、生活のシーンに合わせた販売形態といえます。
■小売の形態
業種から業態に変化したことから、「屋」のつく店(八百屋、酒屋といった取り扱い商品名がつくもの)が少なくなってきました。
これらに代わり、スーパーマーケットやディスカウントストア(注)が一般的になってきました。そのスーパーマーケットも深夜営業あるいは24時間営業する店舗まで現れています。
業種から業態の変化は、「何を売るか」という小売の形態から、消費者のライフスタイルから生まれるウォンツやニーズに合わせた「誰に何をどのように売るか」という小売の形態の変化と言い換えることができます。
エキナカ(駅の構内に設置された店舗や店舗や飲食店)デパ地下(デパートの地下食品売り場のことで、惣菜を充実させつつある。これまでの「素材を売る」から「献立を売る」という形になっている)、ホテイチ(ホテルで作ったパンやジャム、デザート、惣菜類などを販売する店。ホテルのレストランに併設されており、そのレストランが1Fにあることが多いことからホテイチと呼ばれる)といった新しい形態の小売も出てきました。
注:ディスカウントストアから派生した小売の業態
●アウトレットストア:メーカーや卸・有力小売業などが、自社の商品の過剰在庫品を処分するための店舗
●カテゴリーキラー:特定のカテゴリーの商品を専門的に扱い、低価格を武器にするディスカウントストアのこと。既存店の中の特定のカテゴリーを売り場から排除する力を持つことから、カテゴリーキラー(Killer:殺し屋)といわれる
●ドラッグストア:医薬品や化粧品などのほか、ヘアケア製品やトイレタリー商品、日用雑貨なども取り扱うディスカウントストアのこと
●ホームセンター:日曜大工用品やガーデニング用品、ホビー用品や日用雑貨なども扱う郊外型のディスカウントストアのこと
●ホールセールクラブ:会員制のディスカウントストアのこと
●パワーセンター:複数のカテゴリーキラーが同一敷地内に店を構えたディスカウントストア
■チェーンオペレーションとその種類
チェーンとは「鎖」のことです。そして、オペレーションとは「運営」という意味で、鎖のようにつなげて小売店を運営する「多店舗運営」ののことです。本部の統制や指導のもとで各店舗を管理運営していく方法です。できるだけ業務を標準化し、本部が集中的に管理を行い、店舗は販売に注力するというスタイルです。
このチェーンオペレーションは、大きくつぎの3つに分けることができます。
1.レギュラーチェーン
単一の企業(資本)で、複数の店舗を本部が集中的にコントロールする小売店舗のこと。この小売店舗のことをチェーンストアと呼びます。本部が経営方針、商品企画、出店計画、人事管理など重要な製作や計画を立案を実行していきます。大手のスーパーマーケットなどがレギュラーチェーンの例としてあげることができます。
2.フランチャイズチェーン
本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)を募集して契約(フランチャイズ契約)を結び、その加盟店に、一定地域内での商標や商号を使用することを認め、本部は加盟店に対し、経営指導や販売指導、商品の供給などを行います。加盟店は、その見返りに加盟料とロイヤルティー(指導料)を支払います。本部・加盟店にとってはそれぞれ次のようなメリット・デメリットが考えられます。
(1)本部(フランチャイザー)
メリット●不動産資金などは加盟店が持つため、急速な規模の拡大が可能となる
デメリット●店舗ごとにサービス内容や販売方法にバラ月がでる●方針を徹底するのに手間がかかる
(2)加盟店(フランチャイジー)
メリット●ブランドを利用できる●運営ノウハウを提供してもらえるので、専門性がなくても運営が可能●広告宣伝など本部が行うため、販売に専念できる
デメリット● 仕入れの自由がない●活動に制限がある●ロイヤルティーの支払により利益が圧迫される
コンビニエンスストア、レンタルビデオ、ファーストフード、クリーニング、学習塾などさまざまな分野でこのフランチャイズシステムを採用しています。
3.ボランタリーチェーン
ボランタリー(Voluntary)とは「自発的な」といういみで、独立した中小の小売店が、それぞれの経営の独立性を保ちながら、仕入れ、販売促進、従業員教育などの事業活動を共同で行う組織のこと。本部を設置し、その本部で、宣伝・教育・商品開発・販売促進を行います。フランチャイズチェーンほどの本部の力は強くはなく、加盟店の独立性を維持しながら営業活動をするチェーン組織のことです。組織化することで、大手の店舗に対抗したり、仕入れなどの規模の利益を取りながら、分業の効率性を図っていこうというもの。
アメリカでは、問屋が主宰するものをボランタリーチェーンと呼び、小売が主宰するものは、コーペラティブチェーンと呼び区別されています。
次回から新シリーズです。おいしさや食文化を考えます。
(牟田実の食育講座 17)
2007.07.19 22:20:11
| きゃりあ塾
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