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知っておきたい栄養
「食育講座 シリーズ5 栄養の基礎知識 1(全6回)」

 私たちは生命を維持するために食品を食物(注)として摂ります。食物には、私たちの体内に入りそれが直接エネルギーや筋肉、骨に変わるということではありません。
私たちが食物として取り入れたさまざまな物質は、消化・吸収され体内に取り込まれ、分解(異化作用)や合成(同化作用)をして、エネルギーとなりからだの組織をつくり発育や成長をさせます。
この一連の流れを「栄養」といいます。

注:ここでは、食品と食物をつぎのように定義します。
食品・・・ヒトにとって有害となる物を含まない食用を目的としたもの。飲料も含む
食物・・・ヒトがそのまま食べることができる調理された食品のこと

■栄養と栄養素の違い

 食品には、つぎのような働きがあるといわれています。(注)
○一次機能
栄養機能:エネルギー源になる、生体を維持させるなどのからだに対する栄養素の働き
○二次機能
感覚機能:味や香りといった感覚器官に対する「おいしさ」を感じさせる働き
○三次機能
生体調節機能:生体のバランスを維持し、疾病を予防する働き

 よく「この食品には栄養があるからからだに良い」とか「ダイエットにはこの食品が効果がある」という言い方を聞きます。ここには二つの問題点があります。
 一つ目の問題点は、その食品があたかも薬効があるかのように誤解される恐れがあります。それは、もう食品ではなく、薬効のある物質の組成物になってしまい、食事本来の楽しさが見失いがちになってしまいます。
 もう一つの問題点は、「栄養」と「栄養素」を混同しているということです。「栄養」と「栄養素」は違います。
「栄養」とは食物に含まれるさまざまな物質を体内で生活活動に必要な成分に変換する一連の営みのことを指します。

注:昭和59?61年の文部省特定研究「食品の機能の系統的解析と展望」において提示された概念

■栄養素の種類

 「栄養素」とは食物を通じて摂取される「栄養」に必要な物質のことを指します。炭水化物・脂質・たんぱく質を三大栄養素、これにビタミン・ミネラルを加えたものを五大栄養素といいます。ビタミンは、炭素、水素、酸素、窒素などを含む有機化合物で、13種類あります。
 このほかに、ビタミン様(よう)物質といって、体内でビタミンと同じような働きをする物質もあります。しかし、その物質の一部が体内で合成される、欠乏症が起こらないなど他のビタミンの働きとは大きく違う点があるためビタミンとして分類されていません。現在でもまだ研究途上の物質でもあります。
このビタミン様物質は、生命維持のために欠かせない栄養素というより、疾病予防や健康維持に役立つということでその役割が注目されています。
ビタミン様物質:ビタミンP、コエンザイムQ、ビタミンU、イノシトールなど

 ミネラルは、無機質と言われています。カルシウム(Ca)、鉄(Fe)のように元素記号一つで表されます。
人間のからだの95%は酸素・炭素・水素・窒素の4元素で構成され、残りの5%が、からだに必須の微量元素で構成されています。
私たちにとって栄養素として不可欠なミネラルを必須ミネラルと呼び、現在16種類が知られています。

 五大栄養素に加えて、最近ではフィトケミカル(ファイトケミカルともいいます)が注目されています。
これは、ビタミンやミネラルとは別に、野菜やイモ類、豆類、海藻などといった植物性の食品から発見された色素や香り、苦味や辛味などの物質の総称で、栄養素と似た働きをするものです。フィトケミカルは、三次機能(生体調整機能)に有効といわれています。
イソフラボン、アントシアニン、カテキンなど

■栄養素の働き

食物中の栄養素は、体内での栄養活動によってつぎの三つの働きを担います。

1.エネルギーを作る

 脳を使う、呼吸をする、心臓を動かす、歩く、座る、走るなど体を動かすためのエネルギー(注1)となります。炭水化物のうちの糖質(注2) 、脂質、たんぱく質がエネルギー源となります。
糖質とたんぱく質は1gあたり約4kcal、脂質は1gあたり約9kcalのエネルギーを発生させます。

2.からだの組織を作る

 毛髪、皮膚、血液、ホルモン、酵素、筋肉、内臓、骨といったからだの組織を作ります。
たんぱく質は、細胞やホルモン、酵素、筋肉や臓器などの主要な部分を構成します。また、カルシウムは骨や歯の材料となります。

3.からだの調子を整える

 代謝を円滑に行う酵素の機能を活性化させます。また、免疫機能や抗酸化作用の活性化といったからだを正常に保つ調節機能があります。
ビタミンやミネラルはごく微量で重要な働きをします。そのため、微量栄養素を呼ばれています。これらの栄養素の過不足があると、欠乏症や過剰症を引起すため、バランスが大切です。また、フィトケミカルの働きも注目されています。

注1:エネルギーは熱量とも呼ばれます。エネルギーを表す単位としてカロリー(calorie)があります。
 最近では、カロリーの1,000倍のキロカロリー(kcal)が栄養におけるエネルギー常時として使用されています。カロリーを「cal」、そしてカロリーの1,000倍を「Cal」(一文字目が大文字)と書いていました。
しかし、この「Cal」と「cal」はまぎわらしいので、今日では"kcal"(キロカロリー)と表記するのが一般的となっています。私たちがエネルギーについて、一般的に呼ぶ場合、キロを除いて単にカロリーというケースもあります。
 栄養学で使われる単位としてのカロリーは、日本を含む多くの国で標準単位として広く用いられています。
しかし、今後は政策的に国際単位としてジュール(J: Joule)1 cal≒4.186 Jに置き換えられていく予定となっています。アメリカを除く海外の食品では、ジュール表記を併記したものもみられます。

注2:炭水化物は、糖質と食物繊維に分けられます。食物繊維は体内では消化されないものを指します。 炭水化物=糖質+食物繊維


次回は、『栄養素について』です。

(牟田実の食育講座 No.35)


2007.10.12 08:12:47 | きゃりあ塾 | コメント (0) | トラックバック (0)

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