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食生活は文化である
「食育講座 食生活とは?」

 「食べる」ということは、単に栄養素を摂取するということだけが目的ではありません。「楽しい会話をしながら食事をする、素敵な音楽を聞きながら食事をするとおいしさが増す」という経験は誰でもあると思います。
イベント(イベントというとおおげさのようですが、何かお祝い事や日常と違うことなど)があると、「食事にでも行こうか」とよく言います。

■食べ物はコミュニケーションのためのツール(道具)

 食文化人類学者の西江雅之氏は、食べ物について次のように述べています。

「食べ物はコミュニケーションである。(略)実際のところ、何かを食べるということは、日常生活の中では誰かとともにであることが普通です。たとえ一人で入った店でも、店員の存在が食事の満足度に大いに関係します。栄養やカロリーは、人間には最も重要なものであることはいうまでもありません。しかし、巷で人気がある栄養錠剤のマニアのような人々を除けば、人の意識には栄養やカロリーよりは、その場での人と人との関係、その場の雰囲気などが実際の食事では大きな意味を持っている場合が多いのです」(「食」の課外授業 西江雅之著 平凡社新書)

 私たちが食生活を考える上で、もっとも重要と思われるのは、「ヒト・人・人間」の側面のうちの「人間」の部分です。それは、人や社会と私たちがどのように関わりあっているのかということです。
私たちは、誰かと共に食事をします。もちろん、一人暮らしや単身赴任、出張先などで一人で食事をするということもあります。しかし、一般的には誰かと食事をしています。
これは「共食(きょうしょく)」(注)と呼ばれるものです。その一番身近なものが家族です。この原則は世界のどこでも同じです。
 いま「個食」や「孤食」が問題となっています。これは、その食のスタイルにも問題がありますが、同時に「コミュニケーション」という点でも問題となっているのです。

■食生活は文化である

 私たち人間は、住んでいる地域や気候、風土にあった食品を収穫あるいは収獲し、それをおいしくいただくための、保存法、調理法、加工法などを考えてきました。そこから、調理器具や食器、食べ方などが発達してきました。そして、それらはまさに文化であり「食文化」と呼ばれています。

 私たちも、入学や卒業、就職、結婚などといった自分たちの人生の節目や、花見、クリスマスといった季節でも「食」がともないます。そのほか、感謝やお礼という気持ちを表現する手段としても「食事」があり、話を聞いてもらう、何かを相談するというときも「食事」が伴うことが多く見られます。
 このように、人とともに食事をすることで、そこには食の作法やルールやマナーなどが生まれ、食文化の形成につながっていきます。
 
 食を通じてあらゆるものへの感謝の気持ちや愛情を育み、そして社会の価値観やルールを学び、お互いのコミュニケーションを豊かにしていきこます。
 まさに食生活とは文化であるといえます。

注:「共食」は、もともとは神(崇拝対象)にくもつ供物(くもつ)を共同で食べ分かち合う儀式によって、神との結びつきを強くし神から力を与えられ、同族の意識を高めるために行うものともいわれています。直会(なおらい)といわれるものです。

次回は「食生活における思い込みと誤解」 お楽しみに

(牟田実の食育講座No.9)


2007.06.22 06:20:17 | きゃりあ塾 | コメント (0) | トラックバック (0)

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